研究課題/領域番号 |
15K21772
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
石井 佳誉 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (40799045)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 固体NMR / 感度増加 / アミロイド / タンパク質 |
研究実績の概要 |
研究目的として以下の3つを挙げた。(i)超高速MAS法を使った微量生体試料観測のための高磁場固体NMR法と(ii)分解能向上のための高次元固体NMR法の開発を行う。(iii)アルツハイマー病に関連したアミロイドとリガンド分子の相互作用の構造生物学を確立する。研究計画通り、1年目では課題(i、ii)の研究で必要なモデルタンパク質(GB1)のバクテリアの培養とタンパク質精製のためのラボ設営と人員のトレーニングを主に行った。現在、MBPと膜タンパク質の固体NMR試料に対する試料調整のための準備を行なっている。また課題(i)に関しては27nmol(180ug)のGB1タンパク質に対して、わずか9秒で2次元1H/15N固体NMRが得られることを示した。2次元であれば1~5nmolレベルのタンパク質試料に対して数分から数時間の間で測定が可能であることを示し、当初の目的を達成した。今後は3-4次元の固体NMR法に対しても同様の微量測定が可能であることを示す予定である。また課題(ii)に関してもSAIL法に加えて、独自の新しい選択ラベル法の開発を進めて、良好な結果を得た。2つを組み合わせることで効果をあげる予定である。試料作成に加えて、分解能向上のための4次元固体NMRの予備実験をGB1に対して行った。(iii)に関しても必要となる2H、13CラベルしたAbeta試料のバクテリアの培養の予備実験を行った。必要な19F-NMRを行える固体NMRがないため、2H、13Cラベルしたタンパク質とリカンドの1H間のコンタクトを測定する実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題(i-iii)でボトルネックであった感度の問題を解決して、課題(i)については目標を達成し、来年度以降は目標以上の結果を目指している。固体NMRと試料作成の環境整備についても順調に推移している。(ii)に関しても初年度に目標としていた進捗状況を満たしている。(iii)については必要な固体NMRプローブ装置が利用できないことが判明したが、実験のデザインを変更して対応している。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は課題(i)については今後は3-4次元の固体NMR法に対しても微量タンパク質試料に対する測定が可能であることを示す。多次元化により適用できる試料の分子量の増加に対応する。また課題(ii)に関してもSAIL法に加えて、独自の新しい選択ラベル法の開発を進め、2つを組み合わせることで効果をあげる。試料作成に加えて、分解能向上のための4-5次元固体NMRの実験を行う予定である。現在測定を行う予定の膜タンパク質に対して、準備を行う。(iii)に関しては2H、13CラベルしたA・フィブリル試料に対しリカンドであるThioflavin-Tとの1H間のコンタクトを測定する実験を行う予定である。抗体等の分子量の大きなリガンドに対しても実験の準備を行う。19F-固体NMRプローブ装置に関しても、共同利用設備等や共同研究で利用可能な装置がないか調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
400MHzの固体NMR装置とオートクレーブを導入したが、複数の会社を比較したためその結果当初予定していたよりも、若干安価で購入できた。
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次年度使用額の使用計画 |
固体NMRのテスト試料であるタンパク質を作成するための試薬を購入予定。
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