生体では、細胞の分化や増殖は固有のニッチ環境により制御される。生体のほぼ全ての組織に常在するマクロファージは、組織固有の機能や形態を示す。これは組織微小環境を形成するニッチが、組織固有の発生や活性化をマクロファージに誘導するためと考えられる。本研究ではマクロファージの分化や組織固有性を制御する組織ニッチの実体、特にニッチを構成する細胞について明らかにする。本研究では、マクロファージの組織固有性を制御すると考えられる大網組織間質細胞を同定した。その生理的役割を明らかにするため、マウス受精卵におけるCRISPR-CAS9による遺伝子組み換え法を用いて、本間質細胞で特異的に発現する遺伝子プロモーターの下流にジフテリア毒素受容体遺伝子が導入されたマウスを作製した。本マウスにおいてジフテリア毒素処理により間質細胞を除去し解析することにより、本細胞が生体内の免疫細胞の局在を制御することを示す結果を得た。
|