生体内において細胞の分化・増殖は周囲の組織環境(ニッチ)による支配を受ける。本研究では、マクロファージの組織発生を司るニッチの実体の解明を試みた。研究代表者は、腹腔内臓器の大網組織から産生されるレチノイン酸が腹腔マクロファージの組織発生・固有性の誘導に必須の役割を担うことを明らかにするとともに、大網組織においてレチノイン酸を非常に高発現する非血球細胞種を同定した。本細胞はレチノイン酸合成に必須な遺伝子群を発現するとともに、マクロファージの発生の場である大網乳斑の近傍に局在することから、腹腔におけるマクロファージの発生・固有性を制御するニッチ細胞として機能することが考えられた。
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