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2017 年度 実施状況報告書

消化器癌と消化器再生における炎症の役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K21775
研究機関北海道大学

研究代表者

谷口 浩二  北海道大学, 医学研究院, 教授 (20627020)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード炎症 / がん
研究実績の概要

大腸がんなどの消化器がんによる死亡率は依然として高く、早期であれば外科的切除が可能であるが、進行がんやがんの再発の場合には主に化学療法が行われ、その効果は限定的である。免疫療法として免疫チェックポイント阻害剤が注目されているが、メラノーマなどでは良好な結果が出ている一方、大腸がんの多くではあまり効果がないことが報告されている。大腸がんを含む多くの消化器がんの発生や進展に慢性炎症が寄与していることがよく知られており、近年炎症ががんを促進するメカニズムが次第に明らかになってきているが、新規消化器がん治療法の開発のために「炎症とがん」に関するさらなる基礎研究が必要である。
炎症性サイトカインIL-6のエフェクターとしてJAK-STAT3経路が有名であるが、最近、研究代表者は別のエフェクターとしてSrc-YAP経路を発見し、腸の再生に重要であることを報告した。
今年度の研究で、大腸がんにおいてもSrc-YAP経路とJAK-STAT3経路が同時に強く活性化している事を発見した。そのため、これらのシグナル経路ががんにおけるよい治療標的と考え、Src阻害剤とJAK阻害剤の同時投与が単独投与よりもがん治療に有効ではないかという仮説を立てた。実際、がん細胞やマウス腫瘍モデルにおけるSrc阻害剤とJAK阻害剤の同時投与は単剤投与よりがんの抑制に効果的であることを確認した。Src阻害剤とJAK阻害剤はすでに一部が治療薬として他の疾患に承認されたり、治験が行われたりしている。そのため、今回の研究結果を早期にヒトの大腸がん治療へ臨床応用できる可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に従って、細胞やマウスを用いた実験を順調に行っており、研究成果の一部の発表を行った。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画に従って、引き続き研究を遂行していく。

次年度使用額が生じた理由

実験に必要なマウス数の確保の準備が遅れているため、次年度使用が生じた。次年度は交配ケージを増やして実験に必要なマウス数を確保するために未使用額を使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] YAP-IL-6ST autoregulatory loop activated on APC loss controls colonic tumorigenesis.2017

    • 著者名/発表者名
      Taniguchi K, Moroishi T, de Jong PR, Krawczyk M, Grebbin BM, Luo H, Xu RH, Golob-Schwarzl N, Schweiger C, Wang K, Di Caro G, Feng Y, Fearon ER, Raz E, Kenner L, Farin HF, Guan KL, Haybaeck J, Datz C, Zhang K, Karin M.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A.

      巻: 114 ページ: 1643-1648

    • DOI

      10.1073/pnas.1620290114

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] The IL-6 family of cytokines regulates intestinal homeostasis and regeneration2017

    • 著者名/発表者名
      谷口 浩二
    • 学会等名
      第76回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] The role of IL-6 family cytokines in intestinal homeostasis and regeneration2017

    • 著者名/発表者名
      谷口 浩二、吉村 昭彦
    • 学会等名
      第5回国際サイトカイン・インターフェロン学会年会2017
    • 国際学会
  • [学会発表] The role of the cytokine receptor gp 130 during intestinal regeneration2017

    • 著者名/発表者名
      谷口 浩二、吉村 昭彦
    • 学会等名
      第40回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] A gp130-Src-YAP module links inflammation to regeneration and cancer2017

    • 著者名/発表者名
      谷口 浩二
    • 学会等名
      第46回日本免疫学会学術集会
  • [図書] Holland-Frei Cancer Medicine, 9th Edition2017

    • 著者名/発表者名
      Todoric J, Umemura A, Taniguchi K, Karin M
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      WILEY Blackwell

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公開日: 2019-03-20  

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