研究課題/領域番号 |
15KK0003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河野 崇 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (90447350)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2018
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キーワード | シリコン神経ネットワーク / 脳型コンピュータ |
研究実績の概要 |
2018年3月末に共同研究先に渡航した。それまでは、共同研究者と渡航中の研究テーマについて大学訪問に加え、電子メールを用いて継続的に協議を行ってきた。 本研究の目標は、神経スパイク情報伝達バスの基礎技術の構築であるが、特に、実装方式(アナログ集積回路実装、デジタル集積回路実装、FPGAチップ上の実装など)やモデルの粒度(マルチコンパートメンタルモデル、シングルセルモデル、統計的モデルなど)が異なる多種類のシリコン神経ネットワークや、デジタルコンピュータによるソフトウェアシミュレーションなど、神経スパイクを用いて情報処理を行う多種類のシステム間を相互接続する技術の開発がポイントである。バスプロトコルの定義に加えて、リファレンス実装を開発する予定であるが、研究機関が限られていることと実用性も考慮し、特にFPGAデバイスと、コンピュータによるソフトウェアシミュレーションシステムとの接続バスに注力することで同意した。また、バス規格の汎用性を高めるため、接続バス規格を物理層と論理層に注意深く分離して定義、整備し、様々な物理層を後に追加できるように留意することとした。その上で、本研究課題中に実装を目指すリファレンスデザインにおいては、開発効率と汎用性を考慮し、物理層にイーサネットやUSBなど入手性のよい既存規格を用いる方針とした。ただし、帯域やレイテンシなどの面で不十分である場合には、別途専用の物理層を定義することについても同意した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
協議を進めることにより、共同研究先の研究状況を把握し、渡航後速やかに研究を開始できるよう準備をすすめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの協議で取り決めた方針に従い、接続バスのプロトコルを整備した上で、FPGA上のシリコン神経ネットワークとデジタルコンピュータ上のシミュレーションソフトウェアとの間で高速に情報伝達できるリファレンス実装の構築を目指す。接続バスの上位プロトコルは、物理層に依存しないよう注意して階層構造を定義する。本研究期間中に作成を目指すリファレンス実装については、イーサネット、USBなど汎用性のある既存規格を物理層に採用することを検討する。ただし、転送効率が上がらないことが判明した場合には、専用の物理層の定義も視野に入れる。リファレンス実装においては、FPGA上に全結合シリコン神経ネットワークを実装し、そのネットワークとデジタルコンピュータ上の神経ネットワークシミュレーションとの間でリアルタイムに神経スパイク情報をやり取りすることを目標とする。 まず、FPGAボードなどを用いて実装する前に、既に原案作成済みのプロトコルをコンピュータシミュレーションにより検証し、プロトコル定義を整備する。この際、接続バスに必要な帯域、レイテンシなどの性能評価も行う。この結果も元に、物理層を選択し、リファレンス実装を行う。リファレンス実装には、これまでに開発経験のあるザイリンクス社製のFPGAを用いる。FPGAシステムボードは、開発時間短縮のため既製品を用いる。また、デジタルコンピュータ上でのソフトウェアシミュレーションについては、リアルタイムシミュレーションが必要なため、コア部分はC言語で記述予定であるが、FPGAボードとのインターフェイス部分は処理速度に大きなインパクトがなければPythonなどのインタープリタを用い、コンフィギュレーションを容易にすることで、限られた期間で開発できるようにする。
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