本研究課題の4年度目にあたる平成31年度(令和元年度)は,国際共同研究者との間での機械学習技術の開発,計算論的神経科学,データ動型科学に関する研究推進を行った.
計測イメージングデータからの大規模神経ネットワークダイナミクス抽出の実現に向け,本年度は,神経ネットワークダイナミクスの抽出ならびに制御を実現するためのアルゴリズム開発を推進した.イメージングデータからの情報抽出を実現する上で,スパースモデリングに基づくネットワークダイナミクスの推定アルゴリズムを構築した.さらに,神経ダイナミクスの推定と状態制御を同時に実現するためのアルゴリズム構築も推進した.加えて,多次元時系列データから緩やかに変化する成分を抽出するアルゴリズムである確率的Slow Feature Analysisに関する理論研究を行うとともに,数理構造の共通性に注目することにより,脳科学分野に関して構築したデータ駆動型手法を地球惑星科学分野へ応用する異分野融合型の理論研究を行った.また,嗅覚センサで計測される多次元時系列データから匂い情報を抽出し,匂いの快適度の推定を実現するデータ駆動型アルゴリズムを構築し,その有効性を示した.これらの研究を,国内学会や国際学会において広く公表し,査読付きの英文論文として公表した.これらの研究成果は関連研究者の注目を受け,依頼講演を行うとともに,奨励賞を受賞した.
さらに,本研究課題における国際共同研究を推進するために,昨年度に引き続き,神戸大学先端融合研究環 統合研究領域において,国際共同研究プロジェクト「神回路網シミュレーションモデル研究」の研究プロジェクトリーダーとして,計算科学とデータ科学のアプローチを融合する学際研究を行った.加えて,国際共同研究者の所属研究機関であるカリフォルニア大学サンディエゴ校にて国際シンポジウムを開催し,国際共同研究を推進した.
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