本研究は,スマートフォンやウェアラブル機器を利用したユーザの状態認識に関する研究である.これまでタッチパネル操作をセンサとして用いる手法や,バイタルセンサを搭載したスマートウォッチを搭載したストレス推定などについて,国内で発表してきた.これらの研究を土台とし,国際的に活躍するUCLA,Mani教授のもとで調査,議論を行い,今後どのような研究へ発展させていくべきかの知見を得ることが目的である. なお,最終年は,帰国のタイミングが年度を跨いだことによって発生した3週間のみである.昨年の報告の通り,UCLA Mani研で得られた新しい知見から着想を得て,科研費の獲得につながった.圧力などの物理エネルギーを電力に変えるエナジーハーベスト素子を電源かつセンサとして利用する低消費電力なユーザ行動認識,に関しては,1年間で3回,国内学会で賞を受賞するととともに,IEEE PerCom2019にフルペーパーとして採択(採択率16.6%)されるなど,期待以上の成果が得られている. こうしたセンサを用いたユーザの状態認識の次の重要なステップとしては,認識結果に基づいた介入,例えば,ストレスを検知した場合に休憩を促すなど,がある.しかしながら,我々が参加する国際学会では,未だセンシングに焦点が当てられており,情報技術を用いた介入については取り扱いが少ない.そこで,Mani教授とともに,Persuasive Technology(説得技術)を取り扱う国際ワークショップPerPersuasion2019をIEEE PerCom2019に提案したところ,採択され,2019年3月にワークショップを開催することができた.発表件数は6件であったが会場には多くの参加者があり,活発な議論が交わされた.
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