研究課題
本研究では、下記の4項目を目的としている。1)氷床コア中の窒素や希ガスの濃度と同位体について、大気が氷床へ取り込まれるプロセスの理解を進める。2)連続融解分析手法における気液分離とキャリブレーションの手法を確立する。3)過去約6万年においてWAIS Divideコアとドームふじコア間の年代対比を行う。4)南極氷床の深層掘削に関して、古い氷が存在する条件や探査方法、年代推定などについて検討する。今年度は、2月まで研究代表者が南極観測(越冬隊)に参加したため、外国研究機関での滞在は行わず、4)について、本研究課題での国際議論をもとに、南極内陸において氷床レーダー探査をはじめとする大規模な雪氷調査を行い、本研究で使用する質の良いアイスコアを掘削した。上記の1)については、研究協力者(国立極地研究所・学振PD・大藪幾美、技術専門員・北村享太郎)により国内での南極H128フィルン空気の希ガスの分析を進めたとともに、2)については極地研において小型の気液分離ユニットを製作した(研究協力者・国立極地研究所・特任助手・平林幹啓、技術専門員・北村享太郎、尾形純)。3)については、年代同期に使用するWAIS Divideコアの硫黄濃度の高分解能データがデータサイトに公開されたことから、そのデータを用いた同期作業を開始した(研究協力者・国立極地研究所・学振PD・大藪幾美)。
3: やや遅れている
研究代表者が南極観測の越冬隊に参加したため全体の進捗が遅れているが、トラブル等による遅れではないので、今後挽回できると考えている。その他は実施概要に記した通り順調に進んでいる。
今後も各機関への滞在を行いつつ、概ね計画書通りの国際共同研究を進めていく。変更点として以下が挙げられる。ドームふじコアとWAIS Divideコアとの年代同期を相手先期間に滞在して行うことを計画していたが、本研究の開始後に、使用を予定しているWAIS Divideコアの硫黄濃度データが米国のデータリポジトリにて一般公開されたため、相手先機関に滞在して行う必要性がなくなった。このため、年代同期自体は行うが、砂漠研究所での滞在は行わない方向での計画変更を予定している。
すべて 2018 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 10件) 備考 (3件)
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http://polaris.nipr.ac.jp/~icc/NC/htdocs/?page_id=151
http://polaris.nipr.ac.jp/~icc/NC/htdocs/?page_id=175
http://polaris.nipr.ac.jp/~icc/NC/htdocs/?page_id=166