マサチューセッツ工科大学において、Adam Albright氏(言語学科教授)・Naomi Feldman氏(客員准教授)の助言を受けつつ、音韻論的特徴に基づく韓国朝鮮語名詞の語彙分類と、韓国朝鮮語諸方言(慶尚道方言・延辺朝鮮語)における、中期朝鮮語からのアクセントの歴史的変化について、分析を進めた。 前者においては、データ全体において漢字語の比率が高いことから、全ての語が漢字語であると想定するベースモデル、各語彙種の比率に基づきランダムに語彙種を想定する異なり頻度モデル、ngramモデル、語を構成する音節形に基づく音節モデル、Maxent Grammarプログラム(Hayes and Wilson 2008)により得られた制約群を用いたMaxentモデル、音節モデルとMaxentモデルを融合させたハイブリッドモデルを構築し、モデル精度の比較を行った。 後者においては、特に二音節漢字語のアクセント変化について分析を進めた。二音節漢字語のアクセントは、それらを構成する各漢字形態素の基底アクセントの組み合わせにより決まる傾向があるが、アクセント変化は、その基底アクセントが一部失われることで生じたと想定し、繰り返し学習モデルを用いて、20世代におけるアクセント変化のモデル化を行った。基底アクセントが失われた漢字形態素のアクセントがどのように各世代において付与されたかがモデル化の鍵となるが、ランダムに基底アクセントが与えられたとするベースモデル、音節形に基づく音節モデル、Maxent Grammarを用いたMaxentモデル、音節形・Maxent Grammarのハイブリッドモデルを構築し、それらの比較を行うとともに、各方言において生じたと推定されるアクセントの類推変化もモデルに組み込んだ。それにより、各方言における漢字語のアクセント変化を相当程度正確にモデル化することに成功した。
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