研究課題/領域番号 |
15KK0045
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
安部 聡一郎 金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (10345647)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2017
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キーワード | 出土資料 |
研究実績の概要 |
本研究の基課題は、中国・湖南省長沙市で出土した走馬楼呉簡を中心とする後漢末・魏晋時代(A.D.3c-4c)の出土簡牘(簡牘は竹簡・木簡等の総称)の実見調査、および地誌・地方志史料と現地調査による地理環境の復元に基づく総合的分析によって、後漢末~魏晋時代の長江・ 湘江流域の地方政治・社会の動静を明らかにすることを目的とする。 しかし現地では急激な開発によって遺跡の破壊と新発見が同時に進行する状況にあり、地誌・地方志史料と実見調査による地理環境の復元を中核とする基課題の進展には、過去の広域調査と現在の遺跡発見状況について詳細な情報を持つ現地関係機関・研究者と連携を深め、支援・協力を得ることが今まさに必要となっている。そのため本研究が計画され、湖南大学岳麓書院簡帛文献研究中心を研究拠点とし、長沙市の機関である長沙簡牘博物館、ならびに湖南省の機関である湖南省文物考古研究所と共同研究を実施することで、長沙を中心とする湘江流域について、近年の考古調査の成果を中心とする実見調査を実施することとした。 10月末より現地に入って以降、湖南大学岳麓書院簡帛研究中心の研究資源を活用して研究を実施し、あわせて長沙簡牘博物館ならびに長沙国考古遺址公園事務所など、主として長沙市に属する関係研究機関を訪問、走馬楼呉簡に関する調査を実施したほか、近年の新たな発掘で判明した事柄について情報収集を行った。12月22日~25日には研究分担者として参加する他科研と合同で、長沙簡牘博物館にて走馬楼呉簡実見調査を実施、その成果は2月に報告した。ほかに関係する活動としては、1月6日~12日に滞在する簡帛文献研究中心で岳麓秦簡(五)審訂研読会に出席、また11月24日~29日に南開大学(天津市)を訪問してシンポジウムに出席・コメントを担当したほか、12月2日~4日は北京師範大学(北京市)を訪問しシンポジウムに出席した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、湖南大学岳麓書院簡帛文献研究中心に研究拠点を置き、その研究資源を活用しつつ、主として簡牘博物館を中心とする長沙市に属する関係研究機関を訪問、実見調査と資料収集を実施している。途中、取得したビザの期限の関係で一時帰国の必要があり(1月26日~2月1日)、また前後して中国の旧正月(春節)を迎えて大学・研究機関が休暇入りしたため研究機関訪問の計画に遅れを生じたが、関係先との連絡は取れる状態であり、残る滞在期間中に所定の共同研究を実施できる見込みのため、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
滞在期間は4月28日までを予定している。それまでの間に湖南省文物考古研究所をはじめとする各研究機関の訪問と情報収集・資料収集をすすめ、併せて今後の共同研究について話し合いを行う予定である。長沙市の関係では、計画の機関に加え追加で研究機関訪問と調査を実施する計画であり、当該機関との接触については、長沙市簡牘博物館ならびに湖南大学岳麓書院簡帛文献研究中心の支援を受けられる見込みである。
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