研究課題/領域番号 |
15KK0049
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
菊地 利奈 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (00402701)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2018
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キーワード | ジェンダー / 女性詩 / 翻訳論 / 戦争詩 / 日本語文学 / 比較文学 / フェミニズム |
研究実績の概要 |
オーストラリア国立大学(ANU)で客員教員として研究を続けながら、研究計画通り、2017年9月14日~16日開催の国際シンポジウム「Poetry and Translation: Women, Politics, Displacement」の準備すすめた。国際シンポジウムは、ANUに加え、ANU Japan Institute、在豪日本大使館、キャンベラ大学からの協力を得て、ANU、キャンベラ大学、国立肖像画美術館、ゴーマンアートセンターを会場として、学術的な研究発表のみならず、一般の人々をも対象とした朗読会や翻訳ワークショップを開催。メインの朗読会はABCラジオや地元紙でも紹介され、一般から約100名の聴衆が集まった。 国際シンポジウムには、アメリカ、イギリス、セルビア、日本、オーストラリアから詩人及び文学研究者10名あまりを招待、女性の書いた日本語詩についての特別講演をはじめ、研究発表や質疑応答を通し、国際的な視野から日本語女性詩についての議論が深められた。 2017年5月にはキャンベラ大学客員教員にもなり、同大学准教授のJen Crawford氏と女性詩の共訳を開始。同年9月にオーストラリアの出版社Recent Work Pressから現代女性詩の対訳アンソロジー『Poet to Poet: Contemporary Women Poets from Japan』を出版した。本書は、オーストラリアのフェミニストジャーナル『Not Very Quiet』をはじめ、『Japan Times』『東京新聞』『現代詩手帳』などに書評等が掲載された。 Crawford氏との共訳プロジェクトの成果は、オーストラリア国内の詩誌『Westerly』や『Cordite』に掲載され、日本の現代女性詩を国際舞台にあげることに貢献した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画していたANUでの客員教員を続けながら、新たに、キャンベラ大学の教員らと連携し、共同研究を開始できたことの意義は大きい。キャンベラ大学で客員教員になったことで、本研究のメインイベントであった国際シンポジウムについても、キャンベラ大学の協力を得ることができるようになり、計画していた以上に大々的に一般向けのワークショップや朗読会を開催できた。また、キャンベラ大学における共同研究の成果として、現代女性詩アンソロジー『Poet to Poet』を出版し、レビューや書評が日豪両国で取り上げられた。長期滞在の利点を最大限にいかし、ネットワークを広げることができ、その結果、研究の幅が大きくひろがっていることで、当初計画していた以上に研究が発展している。 昨年度計画していた、1)国際シンポジウムの開催、2)アメリカの詩誌『Transference』への訳詩(共訳)掲載、3)オーストラリアの詩誌『Cordite』への訳詩(共訳)掲載をはたし、アンソロジー『Poet to Poet』の出版をはじめ、詩誌『Westerly』への訳詩掲載ができたことは、共同研究のひろがりの成果である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、国際シンポジウムにおける講演・研究発表をまとめ、学術書として刊行できるよう、出版助成を獲得する準備をすすめる。 日本語詩人・英語詩人との人脈をいかし、2018年7月に、日本語詩人と英語詩人による相互翻訳ワークショップを開催するための準備をすすめる。また、同月、日英バイリンガル朗読会を日本で開催する準備をすすめる。これらの活動を通して、国際的に日本語詩人たちの作品を知ってもらい、日本語(女性)詩の研究を国際的にひろげる基盤をつくることに貢献する。 また、日本語詩を知ってもらうとともに、現代英語詩を日本語読者に知ってもらうために、日本ではまだ知られていない現代英語圏詩人たちの作品をも和訳して紹介していく。英語詩の日本語訳は、バイリンガルアンソロジーとして出版できるよう準備をすすめる。
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