研究課題/領域番号 |
15KK0049
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
菊地 利奈 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (00402701)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2019
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キーワード | ジェンダー / フェミニズム / 女性詩 / 翻訳 / 文学 |
研究実績の概要 |
オーストラリア国立大学及びキャンベラ大学にて、客員教員として研究を継続。7人の現代オーストラリア詩人の作品を掲載した、対訳アンソロジーを編集、出版した(『Pleasant Troubles』菊地利奈編訳・川口晴美監修 Recent Work Press ISBN 0648257975)。 2018年7月には、昨年度から準備してきた相互翻訳詩ワークショップを、明治大学教授で詩人の管啓次郎氏の協力を得て開催。英語圏詩人9名が、日本語詩人とペアになり、互いの作品を翻訳した。本ワークショップ及び作品については、『現代詩手帖』(2019年3月号・4月号)に掲載された。 また、同年同月には、上記『Pleasant Troubles』と、昨年出版した対訳アンソロジー『Poet to Poet』の二冊を中心にした、日英バイリンガル朗読会を開催(表参道スパイラル「Poet to Poet Bilingual Poetry Reading」、下北沢B&B「旅する詩声-Poetic Journey through Translation and Transformation-」、橙書店「オーストラリアの風邪に吹かれて」、奈良女子大学記念館「奈良市キャンベラ市姉妹都市25周年記念日毫バイリンガル詩歌朗読会」)。朗読会には9名の英語圏詩人に加え、詩人の平田俊子さん、伊藤比呂美さん、石川逸子さん、三角みづ紀さん、岬多可子さんらが出演、各会ともほぼ満席の盛会であった。 同年10月にはフェミニズム詩グループNot Very Quietに招かれ、キャンベラで開催された朗読会 Australian Poets, Japanese influences に出演。詩人のJen Crawfordとペアになり、左川ちか、石垣りん、新井高子の詩を英語と日本語とで朗読、近現代日本語詩の中の<女性詩>について解説した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画としてかかげたほぼすべてが実現した。2018年度内に2冊目の対訳詩集『Pleasant Troubles』を出版することになり、2017年に開催した国際シンポジウムをもとに出版を予定していた研究書については計画が大幅に遅れたが、それ以外はおおむね順調にすすんでおり、さらに、2019年にも対訳詩集の出版計画があがったことは、研究のひろがりを示すものである。 2018年にアメリカの詩誌を発行する出版社から現代日本語女性詩の対訳詩集を出版する企画があがったため、本研究課題を一年延長し、2019年度内に出版することとした。現在、共編者のJen Crawford氏と準備をすすめている。 University of Canberra における共同研究の幅が広がったことから、2018年12月1日より、visiting fellow から Adjunct Associate Professor となった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、現代日本語女性詩の対訳詩集出版にむけて準備をすすめる。夏期休業を利用して渡豪し、在外研究中に築いた共同研究を発展させ、第二回目の相互翻訳ワークショップの計画をすすめる。 また、詩の翻訳について詩人ごとにまとめてきた滋賀大学経済学部Working Paper Seriesについては、他の詩人についても執筆を続ける。 日本語詩と英語詩の垣根を越えた交流を通して、現代詩の発展に貢献するとともに、日本語詩の英訳を通して、現代日本語詩史における女性詩人の貢献や女性詩作品についての国際的認知度を上げ、現代日本語(女性)詩の国際的な研究基盤を作ることに貢献できるよう、研究・翻訳を続ける。
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