研究課題/領域番号 |
15KK0054
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
折井 善果 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 准教授 (80453869)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2019
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キーワード | キリシタン / 東西交渉史 / 思想史 / グローバル・ルネサンス / イエズス会 / スペイン文学 / インテレクチュアル・ヒストリー / キリスト教史 |
研究実績の概要 |
昨年度行った共同研究の計画の再検討により、「スペイン」「日本」という固定的なアクターを前提とした二国間交流史を、近世初期のグローバル・ルネサンスという枠組みの中でとらえる試みが大きく進展した。 具体的実績としては、共同研究者とともに主催した二度の国際会議が挙げられる。マドリード自治大学では、当該時代を欧文史料から研究する研究者と、日本史料から研究する研究者との激しい議論が交わされるとともに、文学・美術・言語を核としたいわゆる「キリシタン時代/The Christian Century in Japan/El Siglo Iberico de Japon」研究の最前線が問われた。例えば日本の学界においては、ヨーロッパ人による日本情報についての刊本は手稿文=原文書に比して「二次史料」としばしば称され、副次的に位置づけられてきたが、ヨーロッパ思想史においてこれらの資料はエスノグラフィー研究、ヒストリオグラフィー研究という分野で活発な議論を近年惹起していることなどである。中山大学では、伝統的ないわゆる「西学東漸」研究における「東」に含まれる中国と日本との相関関係が実証的に議論された。日ー中それぞれの西学受容史における類似点や比較の抽出のみならず、具体的な日ー中文献を通じた影響関係が多々指摘された。 総じて、日欧のキリシタン文献研究者の互恵的ネットワークの構築、海外への発信、そして国際的な学術会議の運営の経験を積む、という本国際共同研究の目的達成に、大きく近づくことができたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上述の研究内容に関連したレクチャーを計三回行い、活発な意見交換と学術交流の機会にも恵まれたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度開催した国際会議の議論を集約し、共同研究者とともに編著を刊行することが最大の目標である。マドリード自治大学についてはスペインの出版社から出版し、中山大学については雑誌「西学東漸研究」に特集号のかたちで掲載することとし、執筆者、出版社との交渉を現在行っている。これらの出版によって、本共同研究の国際的認知度の向上を目指す。 また、11月にマドリード自治大学のZamora教授を日本に招聘し、スペイン語文学・文献研究の最前線について、また学術活動の英語化をめぐる、非英語圏ヨーロッパにおける大学の現状について、講演を実現させる予定で調整に入っている。
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