研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
第二次世界大戦後のヨーロッパにおけるドイツ系住民の強制移住は、ドイツの戦争賠償とも深く関わる問題だった。本研究では、ドイツ在外財産の処理を含む戦争賠償の枠組みと、ドイツ系住民の強制移住をめぐるディスコースが冷戦の顕在化にともなってどのように変容していったのかを検証することを通じて、強制移住による民族秩序再編に始まり冷戦秩序の確立にいたるまでの第二次世界大戦後の地域秩序再編を新たな視角からとらえることを試みた。
ドイツ現代史
第二次世界大戦終結後、国境変更と大規模な住民移動を通じた民族秩序再編がヨーロッパと東アジアで同時に進行した。戦後処理のなかで行われたこの民族秩序再編は、ソ連勢力圏をはさんでユーラシア大陸の両端における冷戦の最前線で生じた地域秩序の再編としてとらえたときに、その世界史的な意味とスケールが明らかになる。本研究は、アジアとの比較・連関を念頭にヨーロッパの事例を検討することで、戦後処理と戦後秩序形成をめぐる将来的な欧亜間比較に向けた基礎を築いた。