研究課題
本年度の中核的な研究としては、前年度にドイツで共同開催した国際研究集会で発表された多くの原稿を共編著として出版する活動であった。年度を通じて査読をはじめ多種多様な作業に従事した。寄稿論文は14本を数え、相当に厚みのある本に仕上がる見込みである(詳細は本報告書の図書を参照)。研究代表者は、上述の編集作業に加えて、本論集に英語論文を寄稿した(詳細は本報告書の雑誌論文を参照)。これは本科研の集大成にあたる論文であり、2017-2018年度にアルゼンチン、ブエノスアイレスでG・ウィルデ博士と共同開催した国際研究集会で行った研究報告の成果を踏まえて執筆された。この論文では、スペイン統治期の南米ラプラタ地域でイエズス会が運営した布教区でキリスト教化したグアラニ語系先住民たちが実践していた地図の製作や管理方法について、研究代表者が2010年度以来継続している布教区住民名簿(パドロン)に関する研究成果を踏まえて論じた。特定の地図に記されたグアラニの苗字に着目し、こうした苗字を名簿上の苗字と比較することで、苗字が記された地図上の箇所がグアラニ語でアバンバエと呼ばれる布教区住民が世帯ごとに耕作していた農地に該当することが判明した。またこうした地図が、近隣の布教区と領域争いが生じた際、係争地が当該布教区に歴史的に関係してきたことを示す資料として活用されていたこともわかった。このような研究と並行して、布教区関連の洗礼簿の存在が明らかになり、その記載事項を住民名簿の内容と比較することで新たな研究領域の開拓が見込まれたことを受けて、その成果の一部を8月にブエノスアイレスに滞在した際に設けた国際研究集会「領域と循環―カトリック教会と宗教実践の新たなグローバルヒストリーに向けての視角-」で公にし、帰国後の9月には国際研究集会で得られたコメントを踏まえて国内で開催の研究会で試験的に発表した。
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L. Dierksmeier, F. Fechner and K. Takeda (eds.), Indigenous Knowledge as a Resource: Transmission, Reception, and Interaction of Global and Local Knowledge between Europe and the Americas, 1492-1800
巻: s/n ページ: in press
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