主たる成果は2019年11年に公刊した『世界文学と日本近代文学』である。編者の野網摩利子の他、国際共同研究のメンバーであるダリン・テネフ、マイケル・ボーダッシュ、スティーブン・ドッド、小森陽一、リンダ・フローレス、谷川恵一を著者とし、12本の論文を収める。「文学の‘DNA'」という新しく提案した文学概念によって、一国の文学研究に囚われない文学の材源研究が可能になったばかりではない。世界文学から得た発想源が温められるうちに急速に進展することについて、最新の遺伝学エピジェネティクス論をモデルに文学理論を提示した。文学研究と生命科学研究との架橋を可能にした点において、学術的・社会的意義は大きい。
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