研究課題
本研究課題による海外渡航は平成28年度中に完了している.本研究課題は,日本手話研究を従来の用例・母語話者の直感ベースの研究ではなく,自然な対話データを収録したコーパスを用いるなど,データ中心科学の手法で手話言語研究をパラダイムシフトさせることを目的としていた.そのために,(1) 基課題のSMUアノテー ションの手法を海外の関連研究者と議論・共有,(2) SMUアノテーションを付与した対話データを用いた修復連鎖とマウジングの研究 ,(3) 海外の手話言 語コーパスに対し,本手法を適用し,比較言語学の枠組みを構築,(4) 論文共同執筆を予定していた. 平成28年度中にはこれらのうち(4)が実現に至っていない.平成30年度は,海外渡航中に意見交換や議論を交わしたProf. Onno Crasbornを,令和元年6月に予定されている国際語用論学会(香港)のパネルセッションにディスカッサントとして招聘し,その後日本に立ち寄っていただき,関連研究者との意見交換,議論,ワークショップを実施する企画を練った.これらの研究活動を通じ,令和元年度は平成28年度中に実現に至っていなかった論文共同執筆へつなげていきたいと考えている.
2: おおむね順調に進展している
論文投稿が完了していないことが,「(2)おおむね順調に進展している」を選択した理由の一つである.しかしながら,それ以外については当初の計画以上に進んでいる.例えば海外渡航中に意見交換や議論を交わしたProf. Onno Crasbornの研究業績を研究室内で取り上げ,オランダ手話をはじめとするヨーロッパの手話言語と日本手話の比較をするといった研究を開始することができた.また,その成果は,平成31年3月に国内の関連学会で口頭発表し(筆頭は指導する大学院生,研究代表者は第二著者),発表賞を受賞するに至った.以上のことからも,海外渡航によって得た知識や経験が,関連学会等で評価・注目されていることが伺える.
今後の研究の推進方策としては,平成30年度に完了しなかった英語による論文執筆を完了させ,共同研究者のDr. Connie de Vosや意見交換・議論を開始したProf.Onno Crasbornと共有し,共同論文執筆に向けてスカイプもしくは対面での議論を進めたいと考えている.また,また,平成31年度は基盤研究(B)特設分野,基盤研究(A)一般にそれぞれ関連研究課題が採択されており,徐々に新しい研究成果が蓄積されつつあり,理工系との連携なども具体的になりつつある.これらの発展的展開をさらに推進し,国際ジャーナルへの投稿,国際学会でのパネルセッションによる採択を目指し,手話相互行為研究における国際的な地位を確立することを目指す.
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件) 図書 (2件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Proceedings of the Eleventh International Conference on Language Resources and Evaluation, The 11th edition of the Language Resources and Evaluation Conference (LREC)
巻: なし ページ: BONO18.18027
Proceedings of the LREC 2018 Special Speech Sessions, The 11th edition of the Language Resources and Evaluation Conference (LREC)
巻: なし ページ: 30-34
10.15084/00001914
http://research.nii.ac.jp/~bono/ja/index.html