研究課題/領域番号 |
15KK0069
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
伊藤 敦規 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 准教授 (50610317)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2019
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キーワード | 博物館人類学 / 協働 / ソースコミュニティ / カルチャル・センシティビティへの配慮 / 民族誌資料 / 米国先住民 |
研究実績の概要 |
10月8日から12月9日までの約2ヶ月間、米国アリゾナ州に滞在し北アリゾナ博物館(MNA)の研究者と資料調査を継続して行った。また、これまでに実施した資料熟覧調査を収録した映像と文字起こししたテキストデータを照合し、カルチャル・センシティビティへの配慮が必要な部分などを削除する作業を行った。 本研究課題の連携研究者で、デンバー自然科学博物館のChip Colwell氏が北アリゾナ博物館を訪問した際に、本研究の進捗を報告し課題を共有した。 海外渡航以外の期間はこれまでの成果のまとめと公開に努めた。例えば2度の国際シンポジウムでの発表、国内学会での発表、編著の刊行などを行った。また、ポスター発表や共同発表という形式で米国での成果発表も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年12月末まで北アリゾナ博物館のコレクションマネージャーを勤めたキャシー・ドーハーティ氏は、2016年1月に米国ワシントン州シアトルのワシントン大学附属バーク博物館の資料管理マネージャーとなった。2018年度は10月に彼女を短期的に北アリゾナ博物館に招聘し、北アリゾナ博物館で実施したソースコミュニティとの資料熟覧調査の成果刊行物の校正作業を一緒に行った。北アリゾナ博物館ではその他にも、新着資料約100点を新たに熟覧対象としてソースコミュニティであるホピの銀細工師を招聘して調査を行った。また、その様子は全てデジタルビデオカメラで収録した。さらにソースコミュニティの地元であるホピ保留地第二メサのソンゴーパヴィ村落にて、研究成果の進捗報告会を開催した。 渡航以外の期間は日本で研究を進めた。 4月から6月までは天理大学附属天理参考館での企画展で研究成果の一部を発表した。6月末までは、ニューメキシコ州立大学附属博物館長のフミヤス・アラカワ氏が国立民族学博物館の外国人研究員として在籍したため、2017年度に実施した二つの国際ワークショップの成果出版に向けたデータ整理や分析を行った。7月は南山大学人類学研究所が主催した公募シンポジウムを組織し、発表を行った。9月は博物館人類学の世界的権威であるジェームズ・クリフォード氏を基調講演者とした国際シンポジウムを開催し、本研究の成果を発表した。2019年1月から3月まではポスター発表や口頭発表などで日米での成果公開に努めた。また国立民族学博物館から『天理大学附属天理参考館収蔵24点の「ホピ製」資料熟覧――ソースコミュニティと博物館資料との「再会」2』を刊行した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2019年度は、以下のような予定で進める。 4月から7月まで約80日間渡米し、北アリゾナ博物館を拠点としながら研究調査を継続する。実施予定内容は以下3点である。①ニューメキシコ州立大学附属博物館での企画展への協力と開幕シンポジウムへの出席。②北アリゾナ博物館での資料調査の継続。③本研究課題をきっかけとしてホピ保留地で伝統工芸復興教室が開校した。第四期生の受入と指導の現場を取材し、本研究課題の成果を共有して教室運営に貢献する。 7月に帰国してから年度末までは以下2点を集中的に行う。④すでに査読を経たシリーズ第三巻『国立民族学博物館収蔵186点の「ホピ製」資料熟覧(人形資料以外)――ソースコミュニティと博物館資料との「再会」3』を刊行し、第四巻『北アリゾナ博物館収蔵439点の「ホピ製」宝飾品資料熟覧――ソースコミュニティと博物館資料との「再会」4』を査読に投稿する。⑤国立民族学博物館の本館展示場のアメリカ展示場の展示更新が本年度で終了するため、本研究課題の成果を常設展示の一部として組み込み、公開する。
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