本年度は、ドイツおよびオーストリアにおいて、ウィーン大学およびミュンヘン大学にて国際共同研究を遂行し、さらにケルン大学においても新たな研究体制の展開のための訪問をおこなうなど、ドイツ語圏の研究者との国際共同研究を実施した。 まず、ウィーン大学言語文化研究科において、マンツンライター教授およびその研究チームに所属する研究者/ポスドク研究員/院生/との国際共同研究を実施した。マニラをはじめとする東アジアの大都市におけるリスク社会をめぐる社会学的人類学的研究の方法的刷新について、研究実施者である私のデータを用いながらデータセッションを定期的に開催した。それを通じて、リスク社会論を東アジアのコンテクストに即して理論的に再考する作業を共同でおこなった。 また、ケルン大学グローバルサウス研究所を訪問し、マニラのリスク社会をめぐる議論について、研究所において研究報告をおこなった。そこにおいても、たくさんのフィードバックを得ると同時に、研究実施者である私も寄稿者に加わった英語論集を出版する企画がまとまり、現在、ラウトリッジ社と刊行をめぐって内容調整を行なっているところである。 さらに、ミュンヘン大学において、リスク社会論をめぐるデータセッションを定期的におこなった。ウンガー教授の研究チームとの非常に濃密な議論を実施し、さらに昨今の欧州情勢で大きなトピックになっている移民および難民をめぐる「社会問題」とそこでのリスク社会論的な視座の応用についても学ぶことができた。
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