研究課題/領域番号 |
15KK0074
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
東野 篤子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60405488)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2017
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キーワード | トルコ / EU / 日本 / エルドアン / 憲法改正 |
研究実績の概要 |
2017年1月にブリュッセル自由大学ヨーロッパ研究所に着任し、本課題に関する研究を始めたため、本年度における本課題に基づく本格的な研究活動は3か月間となる。 この期間は、本科研費のテーマであるEU/トルコをめぐる国際関係と対日関係を巡るインプリケーションに関し、予備的研究を実施した。具体的には、上記研究所の研究主任で私の海外共同研究者であるアレクザンダー・マッテラー教授およびルイス・シモン教授との間で複数回の会合を持ち、研究スケジュールや成果報告のタイミングなどに関して協議した。とりわけシモン教授からは、本科研のテーマであるEU・トルコ関係および同関係が日欧関係に与える影響について考察する際、日欧関係の枠を超えてより広範なヨーロッパ・東アジア関係の文脈から検討する必要性について示唆がなされ、その一環として、ヨーロッパ研究所が2017年4月から開始するEU・米国・韓国関係の分析会合に参加するよう招請があり、これに対する準備も行った。 さらに、同研究所と連携関係にあるブリュッセルのEU関連シンクタンクであるヨーロッパ研究センター(Centre for European Studies)の近隣諸国政策、西バルカン諸国、ウクライナ、トルコ関係のセミナーに出席し、同センターの研究員らとインタビューおよび意見交換を行った。これらの作業を通じ、現代のトルコをめぐる国際関係について、多角的に検討する機会を得た。 なお、現在トルコでは憲法改正をめぐる大規模な政治的地殻変動が進行中であり、本報告書執筆時点の4月中旬では、憲法改正が僅差で採択されたばかりである。本研究課題において、まさに中心的なテーマとなる事柄が急速な展開を迎えている。このため本課題においても当面は、今回の憲法改正がトルコ国内およびヨーロッパ国際関係(とりわけ難民に関するEU・トルコ合意の行方)に与える影響に焦点を当てて研究活動を続ける予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トルコ国内政治およびトルコ・EUが急速に動いており、本研究課題の遂行の観点からは、ベストのタイミングでヨーロッパに滞在することが出来ている。ヨーロッパでの情報・資料収集は非常に順調に進展している。 一方、トルコ国内における政治状況の不安定化に伴い、本研究課題で想定していた複数に渡るトルコ(アンカラ、イスタンブール、イズミール)におけるフィールドワークは見送らざるを得ない状況になっている。この点は、本研究課題応募時点では予測できなかったことである。しかし、ブリュッセルでの情報収集が進んでいるメリットは、トルコ現地に行くことが出来ないデメリットを相殺していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
トルコにおける憲法改正を巡る国民投票(4月中旬に僅差で可決)と、それがEU/トルコ関係に与える影響については、今後しばらく非常に流動的な状況が予想される。まさに本研究における中心的なテーマに関する急速な展開が予測されるため、夏の一時帰国までは本件に関する情報収集・整理に全力を挙げる。とりわけ、憲法改正を巡るヨーロッパ諸国およびEU諸機関の受け止め方、難民に関するEU・トルコ合意の行方、そしてEU加盟交渉の存続などに関して集中的に検討する。 この一方で、しばらくトルコでは治安上不安定な状況が続くと思われるため、本研究課題応募時に想定していたトルコでのフィールドワークは見送らざるを得ない。その分、ブリュッセルでの研究活動に集中する。
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