研究課題/領域番号 |
15KK0076
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
齋藤 裕美 千葉大学, 法政経学部, 准教授 (60447597)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2017
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キーワード | イノベーション / 大学・公的研究機関 / 企業 / ナノバイオ医薬 |
研究実績の概要 |
本研究の主目的は「多角的な観点から医療イノベーションの価値を整合的に測定する」ことをより発展させることである。これはイノベーションの源泉である「科学」がいかに技術に結びつき、国民の健康・厚生を改善していくかを実証的に明らかにするというものである。 多くの先行研究は、基礎研究の主な担い手「大学・公的研究機関」に着目し、それらの公刊論文と企業の特許との引用関係、あるいは企業との共著論文や特許の共同出願を、科学をとらえる代理指標として用いてきた。しかし、論文や特許はいわば研究の「成功」の結果である。たとえ論文や特許といった成果を通じずとも、産学官連携、ひいては大学・公的研究機関の研究者とのインフォーマルな交流や彼等の論文にアクセスするなど、企業が大学・公的研究機関から科学的知識を吸収する経路の裾野は広い。本研究では、科学の価値を取りこぼさぬよう、従来よりも科学の代理指標の範囲を広げて、科学の価値を測定する方法を検討する。
具体的な研究方法としては、データベースの構築作業については私が主として行い、在外先研究者には逐一作業経過を確認してもらうかたちで関与してもらう。その過程で、分析方法について議論しながら分析も開始して、在外期間中に成果をまとめ、共著論文として完成させたい。 当該年度の終わりに渡米したので、さしたる成果はまだでていない。しかしながら、本格的な渡米に備えて、1月末に打ち合わせのために一度渡米し、十分な打ち合わせができた。事前の研究準備は良好である。3月中は渡航中に必要なデータセットの確認や、今後の研究のスケジュール(分析期限、ワークショップの準備、学会報告論文執筆・投稿など)の確認などを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3月間に渡航したので、具体的な研究成果は現時点ではない。しかしながら、本格的な渡米にあたり、メールで頻繁にやりとりして研究計画をスムーズに実行できるように準備してきたし、1月には事前の打ち合わせで最終確認もしている。3月に渡米したあとも、比較的順調に作業は推移している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にあるデータセットを完成させる。そのつど進捗状況を受け入れ先研究者に確認してもらいながら進める。6月中にあらかたのデータセットは完成させる。その後分析を始める。8月にはUCLAでデータセット構築に当たってのセミナー報告を予定している。その過程で私がもつノウハウと、UCLA側がもつノウハウをお互いにフィードバックし合い、データセットの改善を図る。9月には日本でワークショップを開催する予定で、そこで研究成果の一部を報告したい。他にも報告の機会があれば行う。こうして分析結果をブラッシュアップして11月までに論文の草稿を少なくとも1本は書き上げたい。
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