研究課題/領域番号 |
15KK0076
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
長根 裕美 (齋藤裕美) 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (60447597)
|
研究期間 (年度) |
2016 – 2019
|
キーワード | イノベーション / バイオ医薬 / 特許 / スター・サイエンティスト / 産学連携 / 起業 |
研究実績の概要 |
本研究の主目的は、基課題で挙げた目標の一つ「多角的な観点から医療イノベーションの価値を整合的に測定する」部分をより発展させるというものである。具体的には主に企業側(バイオ医薬)に焦点を当て,科学的知識の吸収(共著者情報からフォロー)とそれを背景としたイノベーション(特許出願や企業業績)につながるような経済活動をデータから明らかにするというものである。受け入れ先研究者Lynne Zuckerとはいまも密に連絡を取り合っており,渡航期間中から始めたデータ作りにおいても引き続き協力をいただいている。日本側のデータ,特に財務データの不備などもあり,難航している部分もあったが,当該年度中に大方のデータセットも完成し,あとは微調整と分析を進めるのみとなっている。 また引き続き,基礎研究から企業への知識移転という観点から、移転される側である企業のみならず、移転する側である研究者の側からの研究も行うことができた。 さらに大学から企業への知識移転の方法として,共同研究以外のパスがないか,また企業のイノベーションの指標として特許,企業業績など一般的な経済指標を超えて,より幅広くとらえることができないか検討した。その一環で参加したケンブリッジ大学でのシンポジウムでは,大学で行われた研究成果に基づき,起業し,高成長企業に育てた研究者たちと交流することができた。特に彼らは自ら大学の研究者であったが会社を興し,その研究成果に基づく製品・サービス事業を展開していた。私がこれまで焦点を当てていた,大学から企業への知の流れは,あくまで大学研究者と企業研究者とのコラボレーションを通じてであったが,大学研究者自らが起業するというパスについては検討してこなかったため,新たな検討材料として加えることにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度まで,データ作成の遅れがあったが,当該年度は研究協力者の助力もあってその遅れを取り戻すことができた。データセットはほぼ完成し,分析を開始できる状態になった。また大学から産業への知識移転のパスについて,従来とは異なるルートについても検討できた。さらに受け入れ先研究者とはいまだ密に連絡を取り合っており,このほかにもシンポジウムや学会参加を通じて国際的なネットワーキングも広げることができた。そこから得られた新しい着想もあり,研究を発展させるめどがたちつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の前半までに一通りの分析をおえる。その一方で今年度の後半には国内外で学会報告ができるように準備を進める。学会報告の期日までに論文化を進め,学会報告後には順次投稿ができるような体制を整えたい。また引き続き,国際的なネットワークを築き,この研究をさらに発展させて,次につながるような形で着地させたい。
|