研究課題/領域番号 |
15KK0084
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中島 英博 名古屋大学, 高等教育研究センター, 准教授 (20345862)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2017
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キーワード | カリキュラム・教授法開発 |
研究実績の概要 |
マサチューセッツ大学ボストン校のJay Dee教授と共に,社会構築主義パラダイムに立脚した大学教員の組織学習研究に従事した。現在の米国に潮流では,大学教員の教育観形成過程に注目した教授法開発は,広く組織学習研究の枠組みで研究が進められている。そのため,本研究でも組織学習研究として教員の教育観形成プロセスを明らかにする研究に取り組んだ。これは,従来の研究が実証主義パラダイムに偏ってきたために,授業改善のプロセスで生じた認知的葛藤を明らかにするタイプの研究が十分に取り組まれなかった批判を克服するものである。 具体的には,米国内の教員4名に対して授業改善のプロセスで生じた認知的葛藤を明らかにする調査,および,教職員3名に対して大学業務のプロセスで生じた認知的葛藤を明らかにする調査に取り組んだ。前者については,カリキュラム論,教育の国際化,米国教育政策史,組織理論をそれぞれ担当する教員の協力を得て調査を行った。後者については,大学の自己点検評価委員会に関わった教職員の協力を得て調査を行った。質的調査から得られた発話データをM-GTAに基づいて分析し,Jay Dee教授とのトライアンギュレーションを行った。 この研究の一部は帰国後に論文として成果を発表したが,渡航期間中のみでは十分な成果の公表ができないため,帰国後も継続して共同研究に取り組むこととした。また,日本における調査データを用いて,二国間での比較研究に取り組む計画を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
渡航期間中に予定した調査は全て行うことができた。研究成果のとりまとめと発表については,渡航期間後に,受入先教員と継続して進めることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,渡航期間中に得たデータに基づく共同研究成果の公表を進める。主に,Association for the Study of Higher Education での発表とHigher Educationへの投稿を進める。また,日本と米国で得たデータによる比較研究にも共同で取り組む。また,本共同研究から発展した取組として,社会構築主義パラダイムに立脚した大学組織学習を学べる大学院教材の開発を進める。
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