本研究では,大学教員が新たに教育改善に取り組む際に,どのような認知的・心理的負荷があるかを明らかにし,教授法を取り入れるプロセスの明示を試みた。また,この研究から発展し,共同研究者とともに組織学習プロセス研究と位置づけ直し,認証評価活動など教育面以外の大学組織内の活動についても,新たな施策を理解していくプロセスの解明を試みた。その結果,次の点を明らかにした。第1に,評価や改善計画は一定程度儀礼的に取り組まれ,組織にとって重要な課題と切り離される傾向がある。第2に,組織にとって重要な課題は,構成員間の相互作用を通じて内面化され,儀礼的な評価や改善計画が組織の統合に有効に作用する可能性がある。
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