研究実績の概要 |
本予算による渡航期間の起点は年度末近い2月15日であるが,申請者は,研究計画調書に記載の通り,これに先立ち前年度の8月下旬より渡航し,Harvard大学に籍を置き,共同研究を実施してきた。 交付対象となる2月中旬以降においては,複数に上る渡航先国・関係国の共同研究者(いずれも研究計画調書記載にて予定通り)のうち,Daniel Wadhwani(University of Pacific, US),Matthias Kipping(York University, Canada)の両名と協力のもと,経営史のヒストリオグラフィに関する共著論文執筆を進めた。この両名とも,渡航先受け入れ機関の受け入れ研究者,Geoffrey Jonesと研究上深い関係にある。同時に,やはり研究計画調書記載の第二系列の共同研究テーマに即して,Ben Wubs(Erasmus University, Netherlands),Neil Forbes(Coventry University, UK)の両名と,政治リスクと多国籍企業に関する共編著の企画書の作成,WEHC(世界経済史会議)2018年Boston大会へのセッション応募の準備を進めた。 また3月30日-4月2日に開催されたBHC(米国学会)Portland大会において,産業史方法論に関する報告を行った。これは上記のM. Kippingら共同研究者との議論の成果を踏まえたものである。また同大会を利用して,M.Kipping, Kenneth Lipartito(Miami International University)らとの,経営史学の方法論とヒストリオグラフィに関する共同研究を進め,帰国後に開催される経営史学会全国大会でのセッション申請の準備を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
上記の理由により,研究計画調書・交付申請書に記載した計画を変更する必要はなく,予定どおり研究を進める。さしあたりは,1) 産業史に関する国際共同研究(Bram Bouwens, Rolv Peter Amdanらと共同)の成果取りまとめを進めつつ,これと並行して,2)政治リスクと多国籍企業の組織イノベーション(Ben Wubs, Neil Forbesらと共同)における出版計画を進める。また,3)経営史方法論・認識論に関する研究(M.Kipping, Daniel Wadhwani)では,Routledge Companion向けの共著論文とともに,査読雑誌への投稿論文の準備も進める(5月にBerlinで開催のABH/GUG合同年次大会で報告予定)。この最後の課題に関しては,"Oerganization in Time"の日本語訳を進めるとともに,経営学と歴史研究の架橋を目指し,6月には,米国内で開催予定の国際経営関係の国際学会への参加も検討する。また7月には,ブラジルで開催される多国籍企業FDIに関する会議にて報告を行う(計画調書記載のTeresa Silva da Lopesら主催の会議)。いったん帰国後の8月には,ノルウェイで開催されるWBHCに参加し,共同研究の成果の報告を行う予定である。また計画調書に記載した第2回目の日本からの渡航(オランダのErasmus大学)については,3人の共編者のうちの3人目,Neil Forbesの本務校であるCoventry大学への渡航への変更も視野にいれて準備を進めている(変更があり得るのは,2名の共同研究者が所属する受け入れ先機関の客員研究員受け入れ条件の変更等に対応するためである)
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