研究実績の概要 |
モジュール(1)「グローバル価値連鎖の中の産業動態と競争力」では,7月ブラジル開催の研究会にて,製紙業・鉄鋼業につき報告。8月のEBHA/WCBHでは共同研究者Amdanらとパネル報告を実施。年度末にはRoutledge社からの学術書出版を進め,B. Bouwens, P.Y.Donzeと共編の英文学術書,"Industries and Global Competition" の編集を進めた。 モジュール(2)「産業史・経営史方法論とヒストリオグラフィ」では,D. R. Wadhwani , M.Kippingとの共著論文を脱稿,2017年に"The Routledge Companion to Business History"の1つの章として刊行。5月Berlin開催のABH/GUG英独学会合同大会でも報告し大きな反響を得た。6月以降,Mira Wilkins,L.Galambos, Tony Slaven等の最重要人物へのインタビューを実施。10月には経営史学会52回大会(中央大学)にて,M. Kipping, K. Lipartitoとともにパネル報告を実施。11月には韓国経営史学会30周年大会で経営史学史の国際比較に関する研究を報告,1月ボッコーニ大学(ミラノ)開催の国際会議では韓国延世大Park教授との共著論文を報告。 モジュール(3)の「国家主権・地政学リスクと多国籍企業」では,ロシュ社資料室にて史料収集を実施。8月にはBergenでのEBHA(ヨーロッパ経営史学会)主催によるWCBH(世界経営史会議)にて,基本的な分析視角につき,研究領域提案型の報告を実施(Wubs, Forbesとの共著論文)。Routledge社からこれについても学術書出版企画を進め,契約に至った。N. Forbes, B. Wubsと共編であり,エラスムス大学滞在の成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書の5ページ記載の「今後の研究ロードマップ」では,予定として,ABH+GUG(Berlin)[5月],WCBH(Bergen)[8月],米国での最有力経営史研究者への学史に関するインタビュー,Havrvardでの共同研究者との共著論文執筆,米国でのアーカイヴ調査,北米の産業論・産業史研究者との共同研究組織構築をあげている。また帰国後の後期の課題としては,経営史学会パネルの実施,産業史に関する英文学術書の編集,またこれらに関するコンテンツ上の成果としては,「米・欧・日・アジアを架橋する新たな産業史像の提示」を公約している。これらのうち,英文学術書の入稿が数ヶ月遅れた点や,ジャーナル論文ではなくハンドブック原稿へと公表先が変わったことを除けば,すべて実現している。 また,研究計画調書10ページ記載の「どのような国際的な研究上の連携が見込まれるか」に記載した9つの論文共同執筆・プロジェクト間連携では,1.経営の学史論文,2. 経営史の国際比較(Around the world) 3.スイス・オランダ多国籍企業論文,7. Organization in Time翻訳,8. B. Wubs, N. Forbesらとの多国籍企業共同研究,9.グラスゴー大学との共同学位プログラム構築を介しての研究連携の各項目の全てにおいて,順調に実現へとむかっている。それ以外の,4. 産業クラスターと産業史基礎概念共著論文, 5. Jones新興国オーラルヒストリー, 6.産業史研究での第二の学術書構想では進展が限られるが,他方で,Matthias Kipping(ヨーク大学)との間では,経営学・戦略論におけるDynamic Capability理論について本研究の成果である産業=企業=立地の3視点分析を応用した論文が具体化しつつあり,総合的にみると順調に進展していると判断できる。
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