研究課題/領域番号 |
15KK0089
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
宮原 泰之 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80335413)
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研究期間 (年度) |
2015 – 2017
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キーワード | 評判 / 悪評 / 不完備情報 / 繰り返しゲーム / 有限記録 |
研究実績の概要 |
イェール大学に滞在し、Eduardo Faingold准教授と悪評に関する共同研究を行なった。共同研究は「Bad reputation and limited memory」というプロジェクト名で行われており、ひとりの長期的プレーヤーと一連の短期的プレーヤーの関係における評判に関する研究を繰り返しゲームの理論を用いて行なっている。多くの既存研究との大きな違いは、既存研究では短期的プレーヤーは完全な記録が利用なのうであることに対し、本プロジェクトでは短期的プレーヤーが有限の記録のみを利用可能であるような状況を分析している。 Faingold氏とほぼ毎週、研究の打ち合わせを行なった。分析は順調に進められた。主要命題に関する証明はほぼ完成したものと思われる。これまでの暫定的な分析をまとめたものは原稿として、すでにまとめられている。 また、イェール大学で毎週開催されているミクロ経済理論の輪読会で発表し、本研究について意見を求めた。その輪読会にはJuuso Valimaki教授(経済研究ヘルシンキセンター)、Joyee Deb准教授(イェール大学)、Johannes Horner教授(イェール大学)といった繰り返しゲームに関連する研究者が出席していた。特にValimaki教授は悪評に関する研究分野を切り開いた研究者の一人である。研究発表は高い評価が得られたと判断する。有益なコメントが得られた。特に、Deb准教授は我々と同様に有限記録に関する研究を行なっている研究者であり、我々の研究に対して詳細なアドバイスを頂いた。今後の研究に反映させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要命題に関する証明はほぼ完成したものと思われる。また、主要命題の拡張についても分析を開始した。主要命題においては、プレーヤー達が選択できる戦略を限定しない状況について結果を導出した。それに対し、拡張においては、プレーヤー達が選択できる戦略を特定のクラスに限定した下での分析を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」で説明したように、主要命題の証明と、それを拡張した特定の戦略のクラスに制限した下での分析を行なった。今後は、この戦略のクラスを制限した場合の分析を完成させる。さらに、この制限をどこまで緩めることができるのかについて考察する予定である。また、現在の原稿段階の論文を推敲し、配布可能な版にする予定である。
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