研究課題/領域番号 |
15KK0093
|
研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
舟木 紳介 福井県立大学, 看護福祉学部, 講師 (50315842)
|
研究期間 (年度) |
2015 – 2017
|
キーワード | オーストラリア / 多文化ソーシャルワーク / コミュニティ文化開発 / デジタルメディア |
研究実績の概要 |
研究代表者は、2016年4月から2017年3月までオーストラリア・シドニー大学教育・ソーシャルワーク学部に客員研究員として滞在し、Ruth Phillips准教授との共同研究を実施した。第1段階として、Ruth Phillips准教授の協力の下、オーストラリアの移民・難民分野及び障害者分野のコミュニティ文化開発の理論、政策に関する資料・文献収集、内容分析を実施し、社会的マイノリティの社会包摂と多文化ソーシャルワークに関連する政策的、理論的課題を文化的市民権に焦点にあてて検討した。第2段階として、(1)オーストラリア・シドニーでコミュニティ文化開発を実践する非営利組織および行政機関へのインタビュー調査、公開イベントでの参与観察、各分野の研究者への聞き取りを実施した。(2) 2017年2月には、北シドニー地区The Bradfield Park WellbeingCentreで多文化な背景を持つ精神障害者の家族支援を行っているMs.Akiko Tomiokaの協力を得て、デジタルメディアを活用したストーリーテリング実践に長期的な参与観察、実践者へのインタビューを実施した。上記の調査を通して、デジタルメディアを活用したコミュニティ文化開発が社会的マイノリティの社会包摂にどのような効果をもたらすかを分析した。また、上記の調査研究と並行して、2016年8月からは、濱野健准教授(北九州市立大学)、Phillip准教授らと協力して、ミドルクラス移民としてシドニーの日系移民コミュニティを対象にアンケート調査を実施し、社会包摂の状況についての量的な実態把握・分析およびミドルクラス移民の社会包摂におけるコミュニティ文化開発の効果を検証した。同様の調査の可能性を探るためにメルボルンでの準備調査も実施した。調査結果は本研究者および共同研究者らによる研究会で分析結果を検討し、国際学会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年4月から2017年3月まで当初の計画通り、オーストラリア・シドニー大学教育・ソーシャルワーク学部に客員研究員として滞在し、Ruth Phillips准教授との共同研究を実施し、十分な調査結果を得ることができた。ソーシャルワークにおけるデジタルメディアの活用については、成果の一部を2016年11月にシドニーで開催された13th Biennial Australian and New Zealand Third Sector Research Conferenceにて報告することができた。ミドルクラス移民の社会包摂におけるコミュニティ文化開発の効果については、日系移民に対するアンケート調査、インタビュー調査を実施し、分析結果の一部について2016年12月にシドニーで開催されたthe 11th Association for Cultural Studies “ Crossroads in Cultural Studies” conferenceの国際学会のパネルセッションでPhillip准教授、研究協力者Kyungja Jung博士(シドニー工科大学)と合同で口頭発表を行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2017年度は2016年に実施したシドニー大学での調査研究のデータや資料の整理・分析を継続する。さらに成果の一部については、国内の福祉専門職や外国人支援者へワークショップを通じて公開し、デジタルメディアを活用した多文化ソーシャルワーク実践モデルの開発につなげる。さらに、シドニーの日系移民コミュニティの社会包摂に関する調査については、Phillip准教授が2014年に実施した韓国系移民コミュニティ調査並びにメルボルンの日系コミュニティ調査との比較研究に発展させるため、2017年8月にシドニー大学等での追加調査研究を計画している。加えて、オーストラリア学会や各国際学会誌への投稿など研究成果発表を重点的に実施する。
|