研究課題/領域番号 |
15KK0094
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大串 敦 慶應義塾大学, 法学部(三田), 准教授 (20431348)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2018
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キーワード | エリート / ロシア / ウクライナ / 官僚 / 政治体制 |
研究実績の概要 |
本助成により、2017年度には国際ワークショップでの報告1本、国際学会報告2本、公刊論文3本を公にすることができた。国際ワークショップは、研究代表者が組織したもので、世界各国からロシアおよびウクライナの政治経済エリートに関して先端的な研究を行なっている研究者をヘルシンキ大学アレクサンテリ研究所に招聘した。代表者は、ロシアの官僚エリートに関しての報告を行い、好評を得た。同ペーパーは改定の上欧米の査読誌に投稿する予定である。国際学会報告は、まず英国スラブ東欧研究学会でパネルを組織し、ウクライナ危機がロシア政治体制に与えた影響を考察した。同ペーパーは改定の上Russian Politics誌に投稿し、掲載された。また、スラブ東欧ユーラシア研究学会(アメリカ)では、ハリコフとドニプロでの現地調査に基づき、野党ブロック党に関する報告を行った。なお、ヘルシンキ大学アレクサンテリ研究所でも、野党ブロックに関する報告を行ったことを付言しておく。同ペーパーは米国の査読誌に投稿中である。 公刊論文は、上述のRussian Politicsのものを除くと、ロシア革命100周年を記念した論文集『ロシア革命とソ連の世紀』第3巻にペレストロイカ時代の政治改革についての論文を公刊した。これは、本研究課題の史的基礎となるものである。また、ロシア政治体制に関して、上記英語論文の改訂日本語版(構成も含めて変更してある)が近刊予定であり、3月末段階で初校校正済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際共同研究推進という観点から本研究課題を見ると、2月に国際ワークショップを組織し、すでに著名な研究者のみならず、若手の先端的な研究成果をヘルシンキ大学アレクサンテリ研究所から世界に発信できた点が極めて大きかった。若手研究者は今後ロシア、ウクライナ政治研究で確実に著名な研究を成し遂げると考えられ、長期的な研究協力を期待できる。 また2017年度は代表者の研究成果も国際学会や欧米の査読誌などで広く公表できた。ロシア政治、ウクライナ政治それぞれに関して、研究代表者が国際学会でパネルを組織した。パネル報告者・討論者は著名な研究者であり、国際協力という観点でも有意義であったといえる。 なお、もっとも主たる在外研究機関のヘルシンキ大学のほか、2017年7月10日にウクライナでの協力を依頼しているラズムコフセンターのStetskiv研究員と、また、2018年3月15日にロシアでの協力を依頼している元社会学アカデミーのKryshtanovskaya氏(現在クルィシタノフスカヤ研究所所長)と面会し、意見交換した。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は2年間の在外研究を終えて、3月末に帰国した。したがって、研究の国際協力体制も、こちらから外国に赴くものから国内での協力に重点を置いていく。まず、国際ワークショップに招聘したうちの幾人かは、2018年度に日本にも招聘し、日本国内にも成果を発信していく。代表者の所属する慶應義塾大学と日本のスラブ・ユーラシア研究の拠点である北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター棟で研究会を行いたい。さらに、その報告ペーパーの査読誌への掲載を試みる。
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