研究課題/領域番号 |
15KK0096
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宮田 幸子 立命館大学, 経営学部, 准教授 (10646764)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2018
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キーワード | 所得格差 / 構造的変化 / 教育の収益率 / インドネシア / 家計調査データ |
研究実績の概要 |
研究テーマの目標および計画から、今年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1. インフラ(特に高速道路など長距離道路網の拡張状況)のデータを、どこの機関が保持し、どのミクロのレベルまでのデータが収集可能かを確認する。今年度は、インドネシア統計局、いくつかのインフラプロジェクトを扱う国際機関(World Bank, Asian Development Bank, ERIA(ASEAN経済研究所)他)、関連研究を行う現地の研究所や大学、などのリストアップを行った。主要な道路プロジェクトの情報は、一覧リストが存在することがわかった。 2. インフラ拡充・整備による家計への影響を分析した文献をいくつか整理し始めた。開発、都市経済や地域経済、の他に農業経済の分野にて、農業の生産性とインフラに関する研究がいくつか存在することを確認した。そのため今後は、農業経済分野における実証研究をさらに調べることを文献検索リストに追加した。 3. 家計・個人、および中小企業や家族経営単位の企業家の金融アクセスに関する研究について、家計調査のデータを用いた実証研究を中心にして、先行研究を整理し始めた。送金による所得格差や貧困への影響に関する研究に関しては、インドネシアにおける実証研究を確認した。 4. 渡航に必要な準備、滞在先でのスケジュールなどの確認。以上の準備を3月末までに行い、次年度の本格的な開始に向けて準備を行った。(今年度の開始時期が3月入ってからであったため、研究実績は、次年度の準備を中心としたものとなっている。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カウンターパートのインドネシア大学の教授、およびその研究科の代表者(Director, Dean, Sub-Dean, International Affairs officerなど)、研究所の代表的幹部らに連絡を取りつつ、次年度の渡航時期、共同研究の可能性のある研究テーマのリストアップと関連するデータリスト、そのデータの入手可能性、研究助手の手配について、話し合いを行った。その結果、来年度の春からの渡航に、インドネシア大学側、およびカウンターパートに特に問題はないことを確認した。ただ、カウンターパートの教員の一人が、2ヶ月ほど春の間に渡米することが新たに分かったため、その前に一度研究テーマのリストアップを行い、整理することで合意した。そのリストアップは既に行っている。 以上より、渡航先の研究機関における研究場所の提供を受け、最初の研究実施のイメージをつかむことができた。また研究テーマについてもある程度整理できたので、初年度研究開始日確定後、準備する段階としては順調な進展と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究開始より、今後は以下のように研究を計画している。初年度において調べた内容から研究計画に若干項目を追加した。また、基盤C研究からの拡張であることを考慮して、その成果に関連する研究を同時に取り扱う。 1. インドネシアの家計調査データ(Susenas)を用いて前年度行った教育の収益率の研究(基盤C)の拡張として、教育政策の効果を考慮した再分析を行う。その結果をまとめて大学におけるセミナーや国際学会にて発表することを計画した。 2. インフラ拡充、整備による家計への影響を分析した文献を引き続き整理する。これまでの文献検索より、農業経済の分野にて、農業の生産性とインフラに関する研究がいくつか存在することを確認したため、今後は、農業経済分野における実証研究をさらに調べることを文献検索リストに追加した。また内陸部の貿易においてもインフラ拡充による影響とその重要性を分析した文献があるため、その分野の実証研究も今後調べていくこととする。3. 金融アクセスについて、家計調査のデータを用いた実証研究を中心にして、先行研究を整理継続する。4. インフラ拡充に伴う農村地域への影響、または金融アクセスについて、入手可能な調査データ(インドネシアにおいて、家計調査データとしてIFLSなどがある)を用いて分析を始める。分析結果をセミナーなどにて発表し、広く研究者や政策関係者らからコメント・批評を受けつつ研究を進める予定である。
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