研究実績の概要 |
1.若年労働市場における仕事と高等教育レベルの学歴ミスマッチについては、昨年度独自に入手した就職追跡調査データを用いて新たに変数を追加して研究を行った。分析手法の見直しを行うと同時に、回答者に就職後二回(2014年と2017年)調査したデータからパネルデータを作成した。いくつか質問項目が変更された為、変数の種類が減る事となったが、分析を実施した。その結果、以下が明らかとなった。1) 単年データ分析と同様に過剰教育者(仕事で必要とされるより高い教育レベルの者)は,職業経験などをコントロールした上でも総所得は教育レベル相応の仕事に従事する者より低い、2) 主成分分析を用いて様々な認知能力や非認知能力のインデックス変数を作成し、説明変数として分析を行った結果、認知能力が高い人ほど所得が高いが、非認知能力インデックスは関係性は見られなかった。
2. 消費支出・所得格差の研究については、主に2つ行った。1)まず、インドネシア他の教育と消費質格差の地域間格差に着目して研究を実施した。2) ミャンマーの2006年と2012年の家計調査データを用いて、教育と消費支出格差に関する分析を都市と農村間の構造的な違いを考慮して行った。都市農村間の消費支出格差は非常に低く、都市農村内の消費支出格差の総消費支出格差に占める寄与度は95%になっている。また、都市と農村内における教育グループ間の消費支出格差も非常に小さく、教育グループ内の格差が総消費支出格差の90%を説明した。都市内の高等教育を受けた家計間消費支出格差は非常に大きく、また分析期間中大きく上昇している。総格差が拡大しているが、その主な要因は都市内の高等教育を受けた家計間消費支出格差の増加である。
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