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2018 年度 実施状況報告書

誘導型と構造型を融合させた実証モデルによる企業結合とカルテルに関する研究(国際共同研究強化)

研究課題

研究課題/領域番号 15KK0101
研究機関大阪大学

研究代表者

西脇 雅人  大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (80599259)

研究期間 (年度) 2016 – 2019
キーワードカルテル / 部分識別 / 動学構造推定
研究実績の概要

本年度は昨年度から引き続き、カルテル観測で不可避的に発生する観測の不完全性を考慮した誘導型推定方法を用いた実証を行った。この実証研究では、違法カルテルを明示的に扱い、どのような市場構造がカルテルにつながるかを明らかにすることを目的としている。今年度は、昨年度から開発に取り組んでいる、不完全な観測から問題を厳密に扱う手法を実際の産業に応用し,カルテル発生確率の幅を推定し,カルテル確率の幅が市場構造とどのような関係にあるのかを実証した。カルテルと市場構造(企業結合によって変化する)の関係性を明らかにしたことが主な成果である。
また,開発した推定方法を用いて,実際に発生しているカルテルのどれぐらいが独占禁止法違反でカルテル事件として摘発されているかを検証した.実際にカルテルとして摘発される件数は潜在的なカルテル件数の1割から2割程度という推定結果がでた.これは多くのカルテルが独占禁止法違反事件として摘発できなかったことを示唆している.
さらにカルテル行動を説明する誘導型と構造型を組み合わせたモデルの構築および推定に取り組んだ.誘導型により,既存のカルテルモデルでは説明できない行動が検出されたため,そうした行動を描写できるモデルを考案し,そのモデルを構造推定する方法を提示した.今年度に得られた結果は,一定の条件のもとで,従来は識別できないと考えられていたパラメター(割引因子)が推定できることであり,これはカルテルの構造モデルによる実証研究にとって非常に重要な発見と言えるだろう.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

補助期間で大学の異動があり,学内業務・講義の変化により,計画に遅れが生じている.そのため補助期間を延長し,残った課題に取り組む.

今後の研究の推進方策

誘導型モデルはほぼ完成と言ってよく,実証結果も出しているが構造型モデルの開発が遅れている.こちらを集中的に取り組む.構造型モデルでは,割引因子の推定が核となるため,その推定方法の開発を急ぐ.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Does Vertical Integration Facilitate Upstream Collusion? An Empirical Study2018

    • 著者名/発表者名
      Masato Nishiwaki
    • 学会等名
      Econometric Society Asian Meeting
  • [学会発表] Does Vertical Integration Facilitate Upstream Collusion? An Empirical Study2018

    • 著者名/発表者名
      Masato Nishiwaki
    • 学会等名
      European Association for Research in Industrial Economics Annual Conference

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公開日: 2019-12-27  

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