研究課題/領域番号 |
15KK0103
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大庭 弘継 京都大学, 文学研究科, 研究員 (00609795)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2018
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キーワード | ジェノサイド / 保護する責任 / 人道的介入 / 自律性 / よりマシな悪 / 政治倫理 / 太湖地域 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、ルワンダに2回渡航し約40日滞在した。本研究の目的は、ルワンダの教員や学生などとの議論から、人道的介入を介入される現場が許容する倫理的条件を探究することである。渡航先のプロテスタント人文社会科学大学は、ルワンダ人のみならず、現時点で紛争国であるコンゴやブルンジからの留学生も多く、また平和紛争学科の学生であるため人道的介入や国連平和維持活動についての関心も高く、人道的介入や保護する責任に対する倫理的評価について様々な知見を得ることができた。 特に映画を題材にした討論会では、学生たちは、ルワンダ・ジェノサイドの現場での倫理的意思決定について様々な意見表明を行った。学生たちによる「倫理的決断」は、報告者の研究である倫理的条件を探究するための貴重な材料となった。また倫理的観点のみならず、実際に自分が実行できるか、という限界の指摘も重要であり、学生たちが地に足の着いた議論を展開したことも特筆するべきであろう。 平成29年度の研究成果は、本研究で得た知見を反映した『資料で読み解く「保護する責任」:関連文書の抄訳と解説』(大阪大学出版会)を共編者として刊行したことである。加えて、本書刊行をうけたワークショップ「『保護する責任』からみる国際社会 ―試行錯誤の四半世紀―」を総合司会として開催し、多くの聴衆に研究成果を還元するとともに、他の研究者と本研究について意見交換できたことは大きな成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は、さらに一か月ほど滞在して研究を進める予定であったが、渡航できなかったため。平成30年度において、滞在期間を確保し、研究の遅れを取り戻す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度であり、成果をまとめる段階である。平成30年度と31年度にかけて、ルワンダでの研究蓄積を成果として、学会・研究会で報告するとともに、論文等で公表する。
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