研究課題/領域番号 |
15KK0103
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大庭 弘継 京都大学, 文学研究科, 研究員 (00609795)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2019
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キーワード | ジェノサイド / 人道的介入 / 保護する責任 / よりマシな悪 / ルワンダ / 太湖地域 |
研究実績の概要 |
2018年度は、約8週間、ルワンダに渡航し研究を行った。この渡航において、研究者を含めたルワンダ人ならびに周辺国出身者と議論した結果、本研究課題のテーマである人道井的介入に絞った問いだけでは、実りある議論には不十分だと判明した。ルワンダにおいて人道的介入を議論する前提として、ルワンダ人自身がジェノサイドに直面した際にどう行動するべきか、という形で提題する必要性を認識した。つまり、国際社会・外国による人道的介入を受け身の立場で犠牲を許容するかどうか、という提題だけでは不十分である。この提題と並列に、外部による介入の有無に関係なく、目前で虐殺が生じた場合に一人の人間としてどう行動するべきか、という問いかけの必要性を、18年度の渡航で認識した。 そのため、遠回りにはなるが、人道的介入だけを取り上げるのではなく、ジェノサイドに対してあなた個人はどう対応するかという問いかけを加え、個人から国際社会へと連なるグラデーションとして、ジェノサイド対処を再定式化することで問題の深化を試みている。 この再定式化に関連し、18年度は新たに救出者(rescuer)に着目し、インタビュー等を行った。救出者は、危険を冒しながら犠牲者を庇った人々だが、虐殺者に処刑されてしまうこともあった。こういった救出者の事例は、エスニックとしては虐殺者の側に属しまた少数でもあったため、ルワンダ国内においても注目されることが少なかった。しかしながら、個人の倫理的問題としてジェノサイドを考える訴求力を持つと考え、事例収集と並行して、ジェノサイドに対処する問いかけとして定式化する作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度は更に数週間渡航を計画していたが、事情により渡航できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、国内において上述の問いの再定式化を完了したうえで、3週間から4週間渡航し、本研究の成果をまとめる予定である。
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