わが国は世界一の高齢国でありながら、わが国の介護者支援策について、法整備や具体的な支援策を見ても欧米に比して遅れていると言える。一方、さらなる高齢化や財政の逼迫に伴い、在宅介護がますます推奨され、家族介護者の負担を軽減しつつ在宅介護を継続するために、介護者支援の実態把握や具体的な支援策に関する研究が必須である。 本研究では、①2016年度に滞在したアメリカ・ユタ大学において実施された認知症高齢者を介護する介護者のための介護者支援プログラムを参考に、日本版を開発・導入すること、および②日米の介護者事情を比較することで、わが国における介護者の実態を把握することを目的として研究を推進し、本年度は以下を実施した。 ①について、ユタ大学が作成した介護者支援プログラムを参考に、実際の介護者、介護者支援実施NPO法人にも検討してもらい、他大学と共同のもと、昨年度までに作成した介護者支援プログラムWeb配信版を用いた介護者QOL(介護負担感、うつ、社会的ケア関連QOL、孤立感、認知症ケアによるグリーフ、人生満足度、幸福感)について分析を行った。 ②について、日本の介護者の実態把握の一環として、緊急ショートステイサービスのシステムを整備することで、緊急ショートステイサービスの利活用が進み、介護者の不安を払拭することで、在宅で介護を受けている高齢者が施設移行せずに在宅介護を継続できた際の経済効果を、ユタ大学の受け入れ教員らと共に論文にまとめ、国際誌に採択された。
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