研究課題
高齢化に伴い、人生の最終段階をどう過ごすか、特にどのような医療・ケアを受けるかについて本人の意思決定が求められ、病院以外での自宅や介護現場でも終末期医療の決定をめぐる困難なケースが予想される。国際共同研究の枠組みにおいて、香港を中心にアジアの終末期の意思決定に関する立法やガイドラインの動きを検討し、日本の検討に貢献することを目指した。国際比較の点については香港において2015年に行われた終末期医療に関する一般人への意識調査の結果を中心に、日本の終末期医療に関する意識の傾向や今後の課題について検討を行った。検討によって、香港と日本では終末期医療に関するAD(事前指示)やACP(アドバンスケアプランニング)などの言葉の認知度は高くないものの、このようなプロセスの重要性については賛成する意見が多かったことは共通であった。また、療養場所や最期を迎える場所については、比較的心身の状態が安定し、認知機能が保たれている状況では自宅を選び、死期が近づくなど専門的なケアが求められていくに従い、医療機関を希望する人が多いなどの似たような傾向が考察された。また自宅で療養しない理由に、家族の負担をあげる声が多いなど共通的も多かった。一方で、終末期医療について誰が決定するかについては、日本では家族の決定を重視する意見が多く、香港でも第一は家族の話し合いであったが、香港では日本に比べて医療者の決定を挙げる人が多いという特徴もみられた。また研究交流の機会として、東大の高齢社会総合研究機構が主催したAPRUの高齢社会ワークショップに、香港大学Sau Po高齢社会研究センターから若手研究者を招聘することができ、また研究者自身も複数の国際学会での報告を果たすことができた。
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International Journal of Endocrine Oncology
巻: Vol.4, No.3 ページ: 127-136