研究課題/領域番号 |
15KK0113
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
宮川 健 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (30375456)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2018
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キーワード | 数学教育 / 教師教育 / 教員研修 / 教師の協働 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,筆者がこれまでに進めてきた,協働を含むいくつかの異なった教員研修における数学教師の学習についての研究を,国際共同研究に発展させるものである.元々の課題では,数学教師らによる「地域・地方の研究会」と大学で推進される現職教員の「教職大学院での研修」という,形態の大きく異なるわが国の二つの教員研修を取り上げ,各々においていかなる教師の学習が実現されているのかその実態と質を明らかにし,個々の教員研修の役割を明確にすることを目的としていた.そして本研究では,分析対象とする教員研修をヨーロッパのものも含め拡大し,国際比較研究により,数学教師の協働を含む種々の活動(教員研修等)の個々の役割と,個々を持続的に実現しさらにスケールアップするための条件と制約を明らかにすることを目的としていた. 2017年8月よりフランス・リヨン高等師範学校フランス教育研究所に滞在し,滞在期間の約3分の2が終了した.これまでのフランス滞在で非常に多くの研究活動ができ,研究も大きく進んだ.具体的には,受入国際共同研究者であるLuc Trouche氏を中心とする研究チーム (EducTiceチーム) のメンバーと共同でのデータの収集や分析,論文の執筆をはじめ,様々な場での招待講演,定期セミナーと国際会議の運営による多くの研究者との交流,フランスの博士院生の指導,大学院での講義などである.これらの活動のほとんどが今回の筆者の研究課題に関連するものであり,いろいろな形で研究の推進に寄与してくれた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
フランス滞在の約3分の2が終了し,これまでの研究の進捗状況は当初の期待以上である.当初筆者が予定していた教師の協働を含む活動のデータ収集については,EducTice研究チームのプロジェクトの一環で収集するとともに,フランス・リヨンの授業研究型の教員研修への参加により収集し滞りなく進んでいる.また,受入国際共同研究者であるLuc Trouche氏に研究チームの一員として多くの仕事を与えていただき,Trouche氏に限らずその他の研究メンバーと共同研究を進めることができている.実際,Trouche氏,筆者と同様に1年間滞在中のブラジルの研究者,本研究課題において当初より共同研究を進める予定であったオランダのBirgit Pepin氏らと共同でデータの分析を進め,既に国際主要学術誌に論文を一本投稿できた.さらに,いくつもの招待講演の依頼をいただき実施したこと,フランス教育研究所で進められている研究プロジェクトの多くが筆者の研究課題である教師教育に密接に関わるものであったこと,世界各国から同じ関心をもつ多くの研究者・博士院生の短期滞在・長期滞在があり多くの研究者と交流できたこと,研究者のみならず学校現場の教員との交流も多く現場の事情がよくわかったこと,小学校や中学校での算数・数学授業の観察が容易であったことなどが,自らの研究課題やデータを振り返り考察する機会を提供するとともに,研究自体を大きく進めてくれた.
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今後の研究の推進方策 |
筆者のフランス滞在は残すところ約3ヶ月弱である.データ収集がおおよそ終了し,フランス滞在中は,収集したデータの分析を研究チームのメンバーと共同で進めること,4回の招待講演が主な予定である.そして日本へ帰国の後は,データの分析結果,これまでの招待講演の内容などを複数の論文としてまとめ,国際学術誌へ投稿する予定である.
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