運動錯覚を利用したリハビリテーション(運動学習)効果の検証が本研究の主要な目的であり、本年度はまずMRI内で使用できる機器の開発を行った。そして現在、運動錯覚を誘発する機器のプロトタイプは完成し、MRIでの使用についても検討を行っている。MRI内での検証では、ノイズの発生による画像情報への影響が危惧されたが、現時点では大きな問題にはなっていないようであり、画像提示と触覚刺激の同期性などに改良を加えて完成させていく予定である。MRIを使用した実験に関しては、MRI本体への影響や倫理申請の観点から、留学先(NIH)PIとも相談した結果、国内の共同研究機関とも協力したデータの収集を行っていくこととなっている。 NIHの研究室では現在、脳磁図(MEG)を中心とした脳機能解析を行われている。特に運動の学習による脳律動変化について、周波数解析を使った詳細な解析手法が取られており、本実験への応用も含め解析方法の習得に努めていく。また患者を対象とした臨床研究も積極的に行われており、健常人で得られた知見を患者治療へと応用する流れがシステマティックにできている。更に、Virtual Reality技術を使った実験も行われており、視覚刺激による錯覚入力を使った運動学習も行われおり、共同研究を模索している段階である。
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