研究課題/領域番号 |
15KK0125
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
栗林 佳代 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (90437806)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2017
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キーワード | 養子縁組 / 親権 / 共同親権 / 面会交流 / 訪問権 / 離婚 |
研究実績の概要 |
本研究は、フランス法との比較を通して、わが国における親権制度を批判的に検討し、両親の離婚後の共同親権制度の導入も含めた新しい親権制度の解釈論および立法案の方向性を検討するものである。具体的には、離婚後の共同親権制度を前提として、とりわけ近年問題として現れることの多い面会交流(フランス法では訪問権)に配慮しつつ、理想的な親権制度を検討する。これまでの研究から両親の離婚後の親権の問題は、両親の離婚に至るまでの紛争において最も紛糾することがわかった。実際の問題解決のためには、離婚の手続における親権の手当が重要である。また、生みの親の親権という枠から外れる子どもに対しては養子縁組が重要となってくるため、養子縁組についても親権との関係において検討をしたいと考える。 比較の対象とするフランス法では、養子縁組制度として完全養子縁組と普通養子縁組が用意されている。文献調査と現地調査を行った結果、社会的背景の違いはあるものの、フランス法における養子縁組制度は、実体法としての民法だけに依拠することなく、社会福祉法や行政法にも広く規定をもち、子のために行われる非常に発達した福祉型であることがわかった。これは、わが国の養子縁組制度を検討する際に貴重な示唆が得られることと思われる。その成果は、「(仮)フランス養子法の概説」として、鈴木博人編『(仮)養子法の国際比較研究』において公表する予定である。その意義および重要性としては、最新のフランスの養子縁組制度について、網羅的に検討した研究を提示することで、学界としてのこの領域の研究の進展での一助となることであると考える。また、親権および面会交流についての成果は、後掲の研究業績の論文である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が平成29年度の途中で発病し、現在は文献研究が中心となっているため、当初の計画より研究の進捗状況は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
フランス法における離婚に関する手続および非常事態であるドメスティック・バイオレンスの場合の対応について、実体法および手続法、それを支える社会福祉制度、民間の非営利法人の当事者支援の仕組みを知るために、文献調査を行い、そのうえで民間および公的な関係機関でのアンケートおよびインタビュー調査を行いたいと考えているが、現在は文献調査を行っている最中である。
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