研究課題
研究課題の背景には、世界中で数多くの自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)が締結されてきた近年の潮流がある。我が国でも、環太平洋経済連携協定 (TPP)や、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)等のEPAに向けた議論が進んでいる。FTAやEPAの経済効果を試算するために、「計算可能な一般均衡(Computable General Equilibrium: GGE)モデル」と呼ばれる分析ツールがしばしば利用されてきた。経済効果に関するCGEモデル分析は数多く行われてきたが、貿易自由化効果に加えて投資自由化効果を同時に応用一般均衡の枠組みで分析した研究は少ない。本研究の目的は、貿易・投資自由化の経済効果を同時に分析可能とするグローバル CGE モデルを開発し、EPAを対象とした政策シミュレーションを実施することである。派遣先の米国パデュー大学国際貿易分析センターは、GTAP(Global Trade Analysis Project)の核であり、国際経済政策分析に携わる研究者ネットワークの要の役割を担っている。Thomas Hertel教授が1993年に研究プロジェクトを立ち上げて以降、WTOの多角的貿易自由化交渉、気候変動パネルなど、グローバルな経済問題を分析する「共通言語」として発展してきた。コンソーシアム・メンバーとしてGTAPをサポートしている国際機関や政府機関は30にものぼる。共同研究の成果として、GTAPセンターとOECDによるワークショップを契機に、CGE分析のための長期ベースライン構築プロジェクトに参加していることがあげられる。このプロジェクトには、国際的なCGEモデル開発チームが20以上参加し、国際貿易、エネルギー・環境、農業の部会ごとに現在も活発に研究が進められている。
3: やや遅れている
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)による海外派遣先の米国パデュー大学国際貿易分析センターから2017年7月に帰国した。帰国直後に発生した両親の看病・介護のため、補助事業期間延長を申請し、承認された。
本研究課題の今後の推進方策は、パデュー大学国際貿易分析センターとの協力を維持し、(1) CGE分析のための長期ベースライン構築プロジェクトの国際貿易部会での共同研究を積極的に推進する、(2) 開発したCGEモデルとベースラインの応用として、国際貿易についてはFTA/EPA、気候変動についてはパリ協定に関連する政策シミュレーションを実施し、国際学会等で報告を行う。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Journal of Asian Economics
巻: 55 ページ: 20-32
10.1016/j.asieco.2017.09.001
Urata, and Ponciano S. Intal, Jr. eds., The ASEAN Economic Community Into 2025 and Beyond
巻: 5 ページ: 233-244