現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年8月にシンガポールに来てから、シンガポール国立大学の共同研究者Medha Kudiasya准教授と交流を深めつつ、(1)インドの証券取引所の機能の有様が工業金融に与えた影響について、(2)日本とインドの工業化と政府の政策との関係について、の2種の研究を行っている。 (1)については、研究代表者がこれまで行ってきた、タタ鉄鋼所やボンベイ綿紡績業など近代的大規模工業部門における長期資金調達行動に関する研究と、Kudaisya准教授が主として行ってきた、これら近代的大規模工業部門に多くの資金を融資してきた在来商人との関係に関する研究を照らし合わせ、植民地期インドの工業化に在来商人が果たした資金供給面での役割に関し、考察を深めた。これら考察の一部は、研究代表者の単著 NOMURA, CHikayoshi. The House of Tata Meets the Second Industrial Revolution: An Institutional Analysis of Tata Iron and Steel Co. in Colonial India, Springer, May 2018の3章や4章に反映された。 (2)については、研究代表者がこれまで行ってきた、20世紀前半日本とインドの金融・財政政策に関する歴史統計を用いた比較研究を、Kudiasya准教授が行ってきた、20世紀前半のインドにおける経済政策の有様に関する歴史分析を照らし合わせ、植民地期インドの金融・財政政策を含めた経済政策の特徴について、考察を深めた。これら考察の一部は、研究代表者の単著 NOMURA, CHikayoshi. The House of Tata Meets the Second Industrial Revolution: An Institutional Analysis of Tata Iron and Steel Co. in Colonial India, Springer, May 2018の6章や8章や、すでに最終稿提出済みの原稿、NOMURA, Chikayoshi. Historical roots of industrialisation and the emerging state in colonial Indiaに反映されている。
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