2018年度の事業は、おもに、研究交流、共同研究、論文執筆、の3種からなる。 研究交流:2018年8月からの滞在期間中、受入教員であるMedha Kudaisya准教授と定期的に連絡を取り、インド経営史の有様について協議してきた。加えて、当該事業期間中、Kudaisya准教授は20世紀中葉のインドの計画経済政策立案に対し主要インド人経営者が果たした役割を解明する書籍を執筆中で、当該原稿に関し研究代表者の見解を聞かれることもたびたびあった。こうした研究交流の延長線上の仕事として、Kudaisya准教授主宰で2018年3月に開催された研究会で研究報告も行った。 共同研究:2018年9月に開催された日本経営史学会でパネル報告を行い、インド経営史の展望を議論すべく、渡航直後よりKudaisya准教授と協議を進めてきた。幸い協議は順調に進み、研究代表者、Kudaisya准教授に加え、長くインド経営史研究を主導してきたオックスフォード大学のGita Piramal博士とタタ財閥の研究を長く続けれいるRaj Wadia氏の4名で、インド経営史の今後を展望するパネル報告を行うことができた。パネルを通じ、インド経済史・経営史の更なる発展には、企業に対する長期資金供給経路の具体的な解明が不可欠であるとのPiramal博士の発言に代表されるような、研究代表者の研究課題に対する高い関心がパネル出席者間で共有された。なお、この共同研究は、2019年インドで開催予定のインド経営史会議への4名参加(予定)にみられるように、継続予定である。 論文執筆:当該事業期間、植民地期インドの近代的企業の長期資金調達動向に多大な影響を与えた、当該時期のインドの金融政策、要素賦存おのおのの概要を統計的に明らかにする論考を執筆した。同論文は、2019年2月にSpringer社から刊行された書籍の1章として刊行された。
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