研究課題
本研究では、若手研究(A)プロジェクト「他者の動きに埋め込まれた社会的情報の処理機構とその発達」を発展させ、前言語期における乳児が他者の動きに埋め込まれた社会的情報をどのように処理し、発達に伴いどのように変化するかについて明らかにすることを目的とした。ロンドン大学バークベック校脳認知発達センターにおいて整備されている高密度脳波計測装置を用い、他者の動きに基づく乳児の物体学習における神経機序を明らかにした。研究代表者らはこれまで、4ヶ月児は垂直方向の腕振に比べ水平方向の腕振りを選好し、9ヶ月乳児は水平方向の腕振りを利用して物体を学習することをすでに見出している(Hirai & Kanakogi, Dev Sci, 2019)。 本研究ではこれら申請者知見を発展させ、身体動作に基づく物体学習の神経機序について検討した。具体的には9ヶ月児を対象に、身体動作に基づく学習成立時の神経活動を高密度脳波計によって計測した。実験では、提示する身体動作の違いを被験者間要因とし、前頭部ならびに側頭部の脳活動に焦点を当て、両群の差異を検討した。さらに、研究代表者のこれまでの研究成果をまとめ、他者動き知覚発達に関する理論モデルを構築することを目指した。当該モデルは、先行研究において構築された顔・視線に関する発達モデルを参考に、2つのシステムからなる他者の動き知覚発達モデルを構築した。本モデルは既存の知見を十分説明可能な理論モデルであり、Neuroscience Biobehavioral Review誌に採択された(Hirai & Senju, Neurosci. Biobehav. Rev, 2020)。現在、当該モデルを非定型発達児の知覚処理特性に拡張する試みを進めている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
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