本研究は、平成26年度に、採択されたメタ認知の研究(科学研究費補助金・基盤研究B)を元に、国際共同研究を計画したものである。当課題は申請者自身が、マカクサルの実験系で見出したメタ認知の鍵となる「確信度」の知見を下敷きに、スタートしている。メタ認知は、内省による自己像の把握に関わり、従来、人文社会学や認知心理学の重要テーマとして、注目されてきたが、その神経基盤を探る実証研究は、近年、始まったばかりである。現在、世界のいくつかのラボで、ヒト・動物を対象に、その解明に取り組んでいるが、これらは、独立かつ散発的に行われているのが現状である。知る限り、メタ認知のモデル動物を確立して、神経科学的手法を適用できているラボは、極めて限られている。 そのなかで、申請者は、マカクサルにおいて、自己の知覚判断に対する自信の程度(確信度)を報告させるメタ認知課題を確立し、神経生理学的手法・薬理学的手法を用いて、その神経基盤の一端を示した。この先行の利を生かしつつ、ヒトを用いて第一線の研究を行っているラボと国際共同研究を組むことで、各分野で閉じている知見を集約することを計画していた。しかし採択後に、ちょうど所属機関の異動があり、新しく赴任した先で、教育や研究の立ち上げに、注力する必要がでてきた。そのため、本グラントの主旨である、申請者自身が、まとまった期間、国外で研究する見込みが立たなくなったため、廃止申請した。
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