研究課題
本事業で構築したハワイを拠点にアメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、インドネシア、フィリピン、ベトナム、台湾、および日本の研究者を含む国際共同研究拠点および国際ネットワークを生かして共同研究を実施した。ハワイの北西海域に設定された世界最大規模の海中保護区(Nort h Western Hawaii Monument)を含むサンゴ掘削計画を伴う共同研究をアメリカをはじめとした各国の研究機関及び各関係省庁との協議の上で具体的な行動計画を作成した。本国際共同研究では、申請者がこれまで形成してきた国際共同研究組織を利用したシームレスな最先端分析システムと太平洋―インド洋―大西洋を網羅する汎世界的規模のサンゴ年輪試料とデータベースの共有化を推進することにより、これまでの研究を加速的に発展させることにより地球規模の問題の解明に挑戦するものである。国内では、サンゴ礁科学研究センターを鹿児島県喜界島に設置し、現生および化石試料の一次処理、解析、選定、および管理までを現場で行うことができる体制が整った。試料の一次処理および試料の選定し、ウラン系列による年代決定と酸素および炭素安定同位体比、微量元素の解析を行い、現在と人類変革期の両方において、エルニーニョ現象を示す数年規模変動を発見し人類進化の上で気候短周期成分が重要であることを示した。ドイツブレーメン大学とフィリピン大学、喜界島において、シンポジウムを開催した。本事業によって形成された国際共同の枠組みをさらに拡大するために、台湾国立大学、ベトナムハノイ工科大学、ドイツキール大学、インドネシアバンドン工科大学との連携を開始し、本事業で推進している国際共同研究へのさらなる発展と加速を試みている。国内外の当該分野の研究者を招聘し、フィールド調査を共同で行う機会を得ると共に今後の解析および研究における発展的展開の可能性を議論することができた。
2: おおむね順調に進展している
ハワイ諸島全域からのサンゴ掘削を可能にするハワイを拠点にしたサンゴ礁科学の国際共同研究の枠組みにフィリピン、台湾、ベトナム、インドネシア、などの発展途上国やドイツなど他の先進国の研究機関や次世代を担う若手研究者や学生の参入が得られ、当初予定予定よりも国際ネットワークの枠組みが拡大され、国際共同研究強化拠点の形成としては、当初の計画以上の成果があった。但し、予期せぬ天候異変のために、予定されていた調査の一部が延期となった。
ホットスポットの直上の太平洋の中央部に位置するハワイ島から北西方向にかけて太平洋プレートにより数十万年をかけながら移動しながら沈降する火山列島であり、その島々にサンゴ礁を形成する造礁サンゴは、火山岩へ新たに定着、石灰化を上方に維持しながらサンゴ礁を維持するために、幅広い東西勾配からのサンゴ記録を得ることができる。一方で、日本列島では、熱帯から温帯までの南北に緯度勾配の大きい試料を得ることが可能である。また、本研究で国内の拠点にしている鹿児島県喜界島は、過去10万年間の間に隆起を継続してきた島であり、過去から現在までのサンゴ礁を陸上において観察できる場所である。これらの対照的なフィールドを拠点として、現在および 過去のサンゴ礁の形成の機構とその試料を用いた気候復元を行い、人類とサンゴ礁、気候変動の共生システムの維持機構を解明する。また、強化された国際共同研究のネットワークを駆使してアジアなどの発展途上国や先進国の両方からの次世代リーダーの育成を行っていく予定である。本年度は、延期となっているハワイにおける掘削計画の実施に加えて、クロアチアおよびインドネシアにおいて本事業の成果である国際共同推進の方向性をそれぞれ、300人、50人程度の関連分野の研究者が集まり集中的に議論する予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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