研究課題
カリフォルニア大学サンディエゴでは、籠状化合物合成の過程で偶然得られたUを含む未知の立方晶化合物の磁化・電気抵抗測定を行った。その結果150 K付近で反強磁性的転移を示すことが解った。U-Pd-Biから成る三元系であることは確実であるが、詳細の結晶・磁気構造と化学式は未だ判っていない。ドレスデン強磁場研究所では、PrNi2Cd20のΓ5対称性の四極子応答に対応する横波弾性定数の極低温・強磁場における弾性定数測定を行い、(C11-C12)/2で得られていた低磁場領域の弾性異常を異なる対称性の超音波モードにおいても捉えることに成功した。さらに、SmNi2Cd20の弾性定数C44(H || [111], k || [110], u || [001]:回転効果の無視できるモード)の測定をパルス磁場下で行い、20 Kにおいて58 Tまでの磁場依存性が緩やかにハード化し続けることを明らかにした。この結果から、結晶場基底状態はΓ8四重項基底を示唆する。50 T付近に相転移らしき弾性定数の折れも観られたが、その原因はまだ明らかになっていない。広島大の鬼丸氏から提供を受けたY0.966Pr0.034Ir2Zn20の超音波測定をT ≧ 40 mK, H ≦ 17 Tの磁場・温度領域で行い、低磁場領域で弾性定数(C11-C12)/2が対数的温度変化を示すことを明らかにした。これは同物質が非フェルミ液体的振る舞いを示す温度・磁場領域と整合し、2チャンネル近藤効果の理論予想とも一致する。本研究結果は、超音波によって四極子近藤効果の単サイト効果の実証を得た初めての成果であると結論できる。
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