研究実績の概要 |
カーボンナノチューブに代表されるメゾスコピック一次元物質における物理現象を明らかにすることが本研究の目的である。このため、電子系の一粒子状態および電子相関効果を理論的手法により研究する。本課題では、国際的に活躍している理論および実験研究グループとの共同研究により、基課題に比べてより多角的な観点から理論を構築することを目指している。 これまでの研究により、ナノチューブの電子状態に対して、量子伝導領域で重要となる微小ギャップやスピン軌道相互作用などの微細構造の効果を明らかにした。さらに、それら効果を取り込んだ有効一次元格子模型を構築した。これらの知見をもとに系の多彩な物理現象を調べてきた。 本年度は、5, 6月の期間、レーゲンスブルグ大学(ドイツ)のグリフォニ教授の研究室等に滞在し、共同研究を実施した。典型的な電子相関の一つである超伝導相関がナノチューブに近接した超伝導体により誘起される状況に着目して過年度から継続して研究を行った。低エネルギーにおける有効模型の構築を行った。これにより数値解析で得られていた、ナノチューブ端に局在するトポロジカルなマヨラナ粒子に対する解析的な計算による研究を展開し、マヨラナ状態の起源などを明確に示した。 また、通常のナノチューブに対しても、様々な螺旋構造においてトポロジカルな端状態が出現することも示した。
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