研究課題
標数pへの還元がほとんどすべてのpに関して大域的F正則多様体になるような、標数0の代数閉体上定義された射影多様体を大域的F正則型多様体という。昨年度に引き続き、今年度も「大域的F正則型多様体Xは対数的Fano多様体である」というKarl SchwedeとKaren E. Smithの予想の3次元の場合に取り組んだ。昨年度までの混標数の変形理論を用いたアプローチではまとまった成果を得ることは難しいと判断し、今年度は別のアプローチを試みた。数年前、權業善範・大川新之介・三内顕義との共同研究において、Xが森夢空間ならばSchwede・Smithの予想が正しいことを証明した。その証明では、反標準因子に関して極小モデルプログラム (MMP) を走らせることによって、反標準因子がネフの場合に帰着させるのがキーであった。森夢空間上のネフ因子は半豊富なので、反標準因子が半豊富の場合を考えればよいことになり、この場合のSchwede・Smithの予想は標準的な議論から導かれる。森夢空間でない場合には、反標準因子に関してMMPを走らせることはできないし、ネフ因子も半豊富とは限らないが、Schwede・Smithの予想へのアプローチの第一段階として、反標準因子がネフの場合を考えるのは自然なことだと思われる。このアプローチに関してPaolo Cascini氏と議論を重ねた結果、反標準因子がネフであるような、3次元非特異大域的F正則型多様体は弱Fano多様体であることを証明することに成功した。この結果に関する論文を現在準備中である。またImperial College London滞在中に、權業善範・Paolo Casciniの両氏と共に、研究集会「London-Tokyo Workshop In Birational Geometry」の世話人を務め、正標数の双有理幾何学の最近の進展を概観する機会を設けた。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Journal of Algebra
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.jalgebra.2018.08.003
Journal of the Institute of Mathematics of Jussieu
10.1017/S147474801800016
https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~stakagi/