研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
本研究では、米航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センターおよびカーネギー研究所との国際共同プロジェクトにより、二次イオン質量分析計を用いた低汚染での水素同位体分析法を開発、火星隕石の衝撃ガラスに含まれる微量な火星表層水成分の高精度水素同位体分析に成功した。水素同位体分析に基づき、火星地下に新たな水素の貯蔵層が存在することを発見した。水素貯蔵量は過去に火星表面に存在した海水量に匹敵し、現在は地下に凍土あるいは含水化した地殻として存在していることを突き止めた。
地球化学
惑星表層環境は,その惑星近傍だけではなく,太陽系全体のダイナミクスの結果を反映しているため,異なる惑星間での表層環境の違いを理解することが,地球表層環境を理解する上でも非常に重要となってくる。地球以外で過去に液体の水を保持していた太陽系天体は火星のみであり,火星は地球との比較対象として,惑星表層環境の解明に適した天体と言える。本研究により,火星の水の散逸史および表層環境進化が明らかとなるだけでなく,異なるサイズ・太陽距離を持つ地球表層環境の理解が飛躍的に進むと期待される。