研究課題/領域番号 |
15KK0159
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
古庄 英和 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (60377976)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2019
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キーワード | 多重ゼータ値 / モチッヴィクガロア群 / associator / double shuffle関係式 |
研究実績の概要 |
2017年2月から2018年1月まで約1年間、フランスのStrasbourg大学の高等数学研究所(Institut de Recherche Mathematique Avancee) に長期海外出張にでかけ、同大学のBenjamin Enriquez教授と共同研究を行なった。この共同研究では「調和余積のBetti対応物」を求め具体的な表示を明らかにした。調和積とは多重ゼータ値が満たす積和公式の一つであり、調和余積とはこの調和積の双対の概念である。調和余積はde Rham sideの概念と捉えることができ、この「調和余積のBetti対応物」が、associatorを介してde Rham sideの調和余積と然るべき方法で対応していることを明らかにした。この共同研究は、2001年のRacinetの理論を整備し、Betti sideに発展させた研究と言える。基本的なアイデアは、Enriquez氏と以前行なった共同研究で明らかにしたRacinetのdouble shuffle群の固定化部分群的解釈(IMRN, to appear)に基づいており、技術的には組紐群とassociatorsに関するBar-Natanの理論を球面純組紐群へ再定式化を与え汎用性が高くなるよう整備し直した技術を駆使している。 この共著のプレプリント「The Betti side of the double shuffle theory. I. The harmonic coproduct ( arXiv:1803.10151)」は100ページを超える長編となった。現在、氏との共同研究を続けvol.IIを準備中である。 この共同研究については、2017年9月にParisのHenri Poincare研究所のセミナーSeminnaire de Geometrie et Quantificationと2018年1月にBonnのHausdorff研究所で行われた研究集会Periods and RegulatorsとStrasbourg大学のセミナーSeminnaire QuantiqueにてEnriquez氏と共同で連続講演を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Benjamin Enriquez教授と共同で行なっている多重ゼータ値の積構造に起因する調和余積のBetti実現での対応物の研究において、組紐群とassociatorsに関するBar-Natanの理論を球面純組紐群の言葉で再整備しなければならなくなり、さらに途中でassociatorsのガンマ関数の扱いに関してさらに進展が起きたこともあり想定以上の時間がかかってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
続論文の執筆を続ける。Racinetが導入したdouble shuffle群のBetti対応物の構成に取り組む。
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